JA葬祭(農協)に互助会はある?積立制度・組合員割引と家族葬の費用

「JA(農協)の葬儀は安いらしい」と聞いて調べ始めたものの、料金がホームページに載っておらず、互助会があるのかどうかもはっきりしない。そんな状態で止まっている方は多いはずです。

結論から書きます。JAの葬祭事業に冠婚葬祭互助会はありません。JAが用意しているのは定期積金(貯金)と会員制度で、互助会とは法律上の位置づけも、途中でやめたときの扱いも異なります。組合員割引は確かにありますが、公開されている範囲で1%から20%まで開きがあり、しかも「何に対する割引か」がJAごとに違うため、割引率だけを比べても意味がありません。

この記事では、JAの積立制度と互助会の違い、公開されている料金の実額、組合員割引で実際にいくら下がるのかを、各JAの公式サイトと法令・官庁資料に当たって整理します。

目次

JA葬祭(農協)に「互助会」はあるのか

検索では「JA葬祭 互助会」という組み合わせがよく使われますが、この前提そのものが実態とずれています。JAの葬祭事業は、法制度の上では冠婚葬祭互助会とは別のしくみで動いています。

JAの葬祭事業が冠婚葬祭互助会に当たらない理由

冠婚葬祭互助会は、割賦販売法上の前払式特定取引を営む事業者です。前払式特定取引とは、役務の提供に先立って対価の全部または一部を2か月以上の期間にわたり、かつ3回以上に分割して受領する取引を指します(割賦販売法第2条第6項)。この事業を営むには経済産業大臣の許可が必要で、無許可では営業できません(同法第35条の3の61)。

一方、JAが用意している葬儀費用の積立は、多くが定期積金です。定期積金は葬儀代金の前払いではなく、JAが信用事業として受け入れる貯金にあたります。積み立てたお金は満期時に貯金として払い戻され、葬儀代金は施行のときに別途支払います。つまり「役務の対価を前払いしている」わけではないため、前払式特定取引の定義に当てはまりません。

事業の根拠法も異なります。JAの葬祭事業は農業協同組合法第10条に基づく組合の事業として行われており、経済産業大臣の許可を受ける事業ではありません。

📌 押さえておきたい3つの違い:

  • 互助会は経済産業大臣の許可を受けた事業者が営む前払式特定取引
  • JAの葬祭事業は農協法に基づく組合の事業で、許可の対象ではない
  • JAの積立は葬儀代金の前払いではなく、貯金として積み立てるもの

ただし例外もあります。一部のJAは、積立ではなく入会預り金を受け取る会員制度を採っています(例:愛知県の株式会社ジェイエイやすらぎセンターは入会預り金20,000円)。この形は貯金ではないため、扱いを個別に確認する必要があります。

なお、「JAの葬祭事業は互助会に該当しない」と明記した官庁の公表文書は見当たりません。ここで述べた整理は、割賦販売法と農協法の条文から導かれるものです。互助会そのものに入るべきかどうかで迷っている方は、互助会が「必要ない」「やばい」と言われる理由とメリット・デメリットもあわせて確認してください。

積立金の保護のしくみ|互助会は前受金の2分の1、JAの定期積金は元本1,000万円と利息

制度上いちばん本質的な差は、積み立てたお金がどこまで守られるかです。

項目JAの定期積金冠婚葬祭互助会
保護のしくみ農水産業協同組合貯金保険制度割賦販売法に基づく前受金保全措置
保護される範囲1組合につき元本1,000万円までとその利息前受金合計額の2分の1相当額
根拠農水産業協同組合貯金保険法割賦販売法第18条の3(第35条の3の62で準用)
監督農林水産省・金融庁経済産業大臣(許可制)

互助会の保全措置は、毎年3月31日と9月30日を基準日として、会員から預かった前受金の半分について講じられます。裏を返すと、事業者が破綻したときに制度として確保されているのは原則として半額です。

これに対して定期積金は貯金なので、元本1,000万円までとその利息が全額保護されます。同じ「毎月積み立てる」でも、守られ方はまったく違います。

⚠️ 注意したい点:JAの制度がすべて貯金とは限りません。入会金型・預り金型の会員制度は貯金ではないため、貯金保険の対象外です。

途中でやめたときにいくら戻るか

「JAの積立は解約手数料が約10%かかる」という説明を見かけますが、これは正確ではありません。定期積金の中途解約に解約手数料という考え方はなく、適用されるのは中途解約利率です。減るのは利息であって、払い込んだ元本ではありません。

各JAの公式サイトにも、次のように書かれています。

JA中途解約についての記載
JAセレモニーさが「原則として中途解約できません。やむを得ず中途解約された場合は、当JA所定の中途解約利率により計算した利息を元金とともにお支払いします」
JA鳥取中央(いきいき中央倶楽部)「中途解約されても積立済の預金額は減りません」
長野県JA葬祭(セレモニー会員制度・積立金タイプ)「解約をしても積み立て分はしっかりと返納」

ただし、JAの制度なら必ず全額戻るわけでもありません。会員制度型は扱いが分かれます。愛知県のジェイエイやすらぎセンターは入会預り金2万円を退会時に返金すると明記していますが、新潟県の株式会社JAライフ新潟は「脱会による返金は出来ません」と記載しています。加入前に、返金の有無を必ず確認してください。

互助会側の解約手数料についても、よく引用される説明に誤りが混ざっています。適格消費者団体が冠婚葬祭互助会を訴えた事件で、大阪高等裁判所は平成25年1月25日、施行の請求前に解約された場合に事業者が差し引ける「平均的な損害」を、月掛金の振替費用など実費相当額に限定し、それを超える解約金条項を消費者契約法第9条第1号により無効と判断しました。この判決は平成27年1月20日に確定しています。

これを「積立金300万円に対する手数料42,450円が違法とされ、平均21,500円に引き下げられた」と紹介する記事がありますが、42,450円は3,000円を100回払い込む30万円コースの例で、桁が1つ違います。また21,500円という数字も判決が示したものではなく、判決後に業界団体が約款の監修を行った16社22コースの単純平均として、経済産業省の研究会報告書に記載されたものです。

返金期限についても補足しておきます。「解約返戻金は、契約約款に定めている手続による申出があった日から45日以内の一定の期間内に、会員へ払い戻していること」という記述があるのは、経済産業省の割賦販売法(前払式特定取引)に基づく監督の基本方針-冠婚葬祭互助会編-です。法令の条文ではなく、行政の監督上の基準として書かれています。

JA葬祭の積立制度|定期積金型と会員制度型

JAが用意している葬儀費用の備えは、積み立てるタイプ入会するだけのタイプの2つに大きく分かれます。どちらも目的は同じ「葬儀料金の割引」ですが、お金の性質が違います。

定期積金型の積立額・期間・満期後の扱い

定期積金型は、毎月一定額を積み立てながら、加入している間は葬儀料金の割引を受けられる形です。公開されている制度を並べると、金額の水準が見えてきます。

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制度名(JA)毎月の積立額期間割引特典
やすらぎ定期積金(JA粕屋・福岡)3年もの5,000円以上/5年もの3,000円以上3年・5年祭壇料金5%(併用で最大15%)
おおぞらの会(JAしまね・島根)3,000円以上1,000円単位5〜10年祭壇料10%、盛籠一基
セレモニー定期積金会員(JAセレモニーさが・佐賀)5,000円以上(新規契約18万円以上)3年以上葬儀代金2.5%
いきいき中央倶楽部(JA鳥取中央・鳥取)金額・回数を自由選択自由選択式場使用料・祭壇など8項目を5%
セレモニー会員制度(長野県JA葬祭)5,000円(5年契約の例)5年公式サイトに金額の記載なし

満期を迎えたあとの扱いも制度によって違います。JAしまねは満期金を1年ものの定期貯金へ自動振替、JAセレモニーさがは満期日に一括払戻し(店頭表示金利の2倍を適用)としています。

📌 定期積金型に共通する特徴:

  • 毎月3,000円〜5,000円程度から始められる
  • 積立期間は3年から10年で設定されている
  • 加入している期間中であることが割引の条件になっている

最後の点は見落としやすい部分です。JA鳥取中央の「いきいき中央倶楽部」は、満期になると特典が適用外になると明記しています。満期後も割引を維持したい場合は、継続の可否を確認しておく必要があります。

入会金型・預り金型の会員制度

積み立てをせず、入会するだけで割引を受けられる制度もあります。月々の負担がないぶん始めやすい一方、支払ったお金が戻るかどうかは制度ごとに分かれます。

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制度名(運営)入会時の負担割引特典退会時の返金
ふれあい倶楽部(JA東京中央セレモニーセンター)入会金10,000円葬儀費用1〜8万円記載を確認できず
やすらぎカード会員(あいら共同・鹿児島)入会金10,000円葬儀代金8〜10%記載を確認できず
プレミアムメンバーズ(かすや葬祭部・福岡)入会金2,000円祭壇料金5%記載を確認できず
メンバーズカード会員(JAセレモニーさが・佐賀)無料葬儀代金全体1%
JAやすらぎ会員(ジェイエイやすらぎセンター・愛知)入会預り金20,000円祭壇・ホール5%(組合員10%)、預り金充当+特別割引2万円退会時に返金
やすらぎ会員(JAライフ新潟・新潟)年会費・積立なし葬儀プラン10%、会場費11,000円「脱会による返金は出来ません」

⚠️ 入会前に確認したいこと:入会金は原則として戻らない前提の制度が多く、預り金型は返金の有無が制度ごとに異なります。「JAだから安心」と一括りにせず、書面で条件を確かめてください。

積立だけでは葬儀費用をまかなえない

積立で用意できる金額と、実際にかかる金額には開きがあります。定期積金型の一般的な水準は毎月3,000円〜5,000円を3年〜10年ですから、貯まるのは18万円から60万円程度です。

これに対して、株式会社鎌倉新書が実施した第7回お葬式に関する全国調査によれば、家族葬の全国平均は96.39万円でした。しかもこの平均額の内訳は基本料金72.02万円・飲食費11.67万円・返礼品費13.03万円であり、お布施は含まれていません

積立制度は、葬儀費用の全額を用意するしくみではなく、費用の一部を準備しながら割引の権利を得るための手段と捉えるのが実態に合っています。不足分をどう用意するかは、貯蓄や生命共済など別の手段とあわせて考えることになります。

JA葬祭やすらぎの料金

「JA葬祭やすらぎ」で検索して料金にたどり着けないのには、はっきりした理由があります。名前は同じでも、運営している組織が地域ごとに別だからです。

「やすらぎ」はJAグループ共通のブランド名ではない

全農が運営する全国窓口ポータルが示すJA葬祭の共通名称は「JA葬祭」であり、「やすらぎ」ではありません。「やすらぎ」は少なくとも9都府県で個別のJAが独自に採用している名称で、しかも使われ方が3種類あります。

使われ方
施設名やすらぎホール(山梨・静岡・愛知・兵庫・新潟)、やすらぎ会館(三重)、やすらぎセンター(愛知・静岡)
会員制度名やすらぎ会(愛知)、やすらぎ会員(愛知・新潟・福岡)、やすらぎカード会員(鹿児島)
定期積金の商品名定期積金「やすらぎ」(JAぎふ)、やすらぎ定期積金(JA粕屋)

同じグループの中でも、長野・新潟・沖縄などでは「虹のホール」という別系統の名称が使われています。「やすらぎ」が全国ブランドではないことは、この点からも確認できます。

つまり、「JA葬祭やすらぎの料金」という一つの答えは存在しません。まず全農のJA葬祭 都道府県別窓口一覧で自分の地域の運営者を特定し、その事業者の料金を調べるのが最短です。

料金を公開している「やすらぎ」の価格例

「やすらぎ」を名乗る事業者のうち、公式サイトで料金を公開しているところの価格を並べます。

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事業者プラン価格(税込)
ジェイエイやすらぎセンター(愛知・大府市)セレモニーSセット330,000円(組合員297,000円)
ジェイエイやすらぎセンター家族Aセット660,000円(組合員594,000円)
ジェイエイやすらぎセンター家族Cセット1,100,000円(組合員990,000円)
JAあいち豊田サービス やすらぎホール朝日ヶ丘(家族葬専用)ひまわり30330,000円
JAあいち豊田サービス やすらぎホール朝日ヶ丘四季桜55574,750円
JAあいち豊田サービス やすらぎホール朝日ヶ丘巴1001,045,000円
JAあいち豊田サービス やすらぎホール一日葬「煌」385,000円
ジェイエイ福岡やすらぎ40万円プラン440,000円
ジェイエイ福岡やすらぎ60〜150万円プラン660,000〜1,650,000円

同じ「やすらぎ」でも、家族葬の価格帯は33万円から172万円まで広がります。名称ではなく、運営者ごとの料金表で判断してください。

JA葬祭(農協)の家族葬・一般葬の費用相場

地域別に公開されている料金例

公式サイトで料金を公開しているJA葬祭事業者の価格を、葬儀形式別に整理します。

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地域・事業者火葬式一日葬家族葬一般葬
静岡・JA遠中セレモニア(袋井)147,400円411,400円(少人数低価格葬)682,000円
沖縄・JA葬祭おきなわ(虹のホールうるま)220,000円455,000〜750,000円1,100,000円
広島・JA広島市440,000円〜(会館Dコース)〜1,320,000円(会館Sコース)
愛知・ジェイエイやすらぎセンター330,000〜1,727,000円
宮崎・JA葬祭プリエール宮崎165,000円612,000円〜(あんしんプラン)1,069,000円〜(アットホームプラン)
東京・JA東京中央セレモニーセンター220,000円352,000円440,000円715,000円

いずれも税込です。東京の価格は葬儀ポータルに掲載されている情報によります。宮崎の火葬式プランは割引の対象外で、火葬料金が別途必要です。詳細はJA葬祭プリエール宮崎のプラン料金ページで確認できます。

公開されている範囲でのレンジは、火葬式が14.7万円〜22万円、家族葬が33万円〜172万円、一般葬が44万円〜169万円でした。同じ「JA葬祭」でも5倍前後の開きがあります

料金を公開していないJAが約6割

料金にたどり着けないのは、探し方の問題ではありません。公式サイトを確認した22事業者のうち、**具体的な料金を公開していたのは9事業者(約41%)**で、残る13事業者は非公開でした。長野県は確認した4事業者すべて、岐阜県は3事業者すべてが料金を掲載していません。

非公開の理由を明言している事業者もあります。JAさいたま葬祭センターは公式FAQで「葬儀をする場所、地域の風習、祭壇、会葬者の人数などによって大きく変わりますので、葬儀一式○○万円という価格表示はいたしておりません」と説明しています。

💡 料金がわからないときの進め方:

  • 全農の窓口一覧で、自分の地域を担当している運営者を特定する
  • 参列人数・希望する葬儀形式・使いたい式場を決めてから問い合わせる
  • 基本プランに含まれるものと別途になるものを、書面で出してもらう

葬儀形式別の全国平均と比べる

JA葬祭の価格が高いのか安いのかを判断するには、全国平均が基準になります。第7回お葬式に関する全国調査の結果は次のとおりです。

葬儀形式全国平均(総額)
全体平均96.73万円
一般葬122.01万円
家族葬96.39万円
一日葬74.43万円
直葬・火葬式49.56万円

前回の調査と比べると、一般葬は161.3万円から、家族葬は105.7万円から、一日葬は87.5万円からいずれも下がり、直葬・火葬式だけが42.8万円から上昇しています。小規模化が進んだ結果、平均が押し下げられた形です。

ここで注意が必要なのは、JA葬祭の公開プラン価格と、この調査の平均額は同じ土俵にないことです。プラン価格は葬儀社に支払う基本料金であり、飲食費・返礼品費・お布施は通常含まれません。調査の全体平均96.73万円の内訳を見ても、飲食費と返礼品費だけで24.7万円を占めています。プラン価格が44万円だからといって、総額が44万円で収まるわけではありません。

参列人数と実質負担の関係については、家族葬の費用相場と香典を差し引いた実質的な自己負担額で詳しく整理しています。

JA葬祭の組合員割引でいくら下がるか

割引率のレンジと「何に対する割引か」の違い

組合員割引は「3〜17%程度」と紹介されることが多いのですが、公開されている制度を集めると、実際のレンジはもっと広いことがわかります。

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JA・事業者割引の内容割引率
JAセレモニーさが(佐賀)メンバーズカード会員1%
JAセレモニーさが(佐賀)定期積金会員2.5%
JA鳥取中央(鳥取)正・准組合員5%
JA鳥取いなば(鳥取)組合員/福寿の会/年金友の会各5%(併用で最大15%)
ジェイエイ福岡やすらぎ(福岡)組合員/やすらぎ会員/粋生倶楽部8〜12%
あいら共同(鹿児島)やすらぎカード会員8〜10%
JA愛知東(愛知)やすらぎ会10%
JA広島市(広島)組合員(+百歳倶楽部10〜15%)10%
JA葬祭プリエール宮崎(宮崎)正組合員12%+事前相談2%+JA利用3%最大17%
JAにしみの(岐阜)組合員10%+あおぞら定期積金5%+年金友の会5%最大20%

下限は1%、上限は20%です。ただし、この表の数字を並べて比べても意味がありません。割引の対象がJAによってまったく違うからです。

⚠️ 割引率だけでは比較できない理由:

  • 葬儀代金の全体に対する割引(JAセレモニーさが、JAライフ新潟、あいら共同)
  • 基本料金(祭壇+運営費用)に対する割引(ジェイエイ福岡やすらぎ、JA鳥取いなば)
  • 祭壇料金のみに対する割引(JA愛知東、JAしまね、JA粕屋)

同じ「10%割引」でも、葬儀代金全体が対象なのか祭壇だけが対象なのかで、実際に下がる金額は数倍変わります。問い合わせのときは、割引率ではなく**「何がいくら下がるのか」を金額で聞く**のが確実です。

実額が公開されている例を挙げると、ジェイエイやすらぎセンターの家族Cセットは110万円が組合員価格99万円で、差額11万円です。セレモニーSセットは33万円が29.7万円で3.3万円。JA葬祭プリエール宮崎のあんしんプランは税込61.2万円が割引適用で57.9万円となり、こちらも3.3万円の差でした。

つまり、割引で下がるのは数万円から十数万円です。葬儀費用の総額に対する影響は限定的で、割引率の高さだけを理由に葬儀社を決める判断にはなりません。

組合員の加入条件と出資金

JAの組合員には、農業に従事する正組合員と、そうでない准組合員があります。条件と出資金はJAごとに設定されており、全国統一の基準はありません。

区分加入資格の例出資金の例
正組合員農業を営み、住所または経営する農地が地区内にある方/1年のうち60日以上農業に従事し、住所が地区内にある方10口 10,000円
准組合員地区内に住所があり、JAの事業を利用する方など1口 1,000円

上表はJAあいち三河の例です。他のJAでは加入条件も出資金も異なり、「詳しくはお問い合わせください」として金額を公表していないJAもあります。

出資金は預けたお金であり、脱退するまで戻りません。

📌 加入を判断するときの目安:

  • 見込まれる割引額が、出資金の負担を上回るか
  • 貯金・共済・購買などJAの他の事業を利用する予定があるか
  • 割引の対象が葬儀代金全体か、祭壇料金だけか

組合員でなくてもJA葬祭は利用できる

「組合員でないと頼めないのでは」と考える方がいますが、そうではありません。JAさいたま葬祭センターは公式FAQで「どなたでもご利用できます。JAは地域に根ざした協同組合です」と明記しています。他のJAでも「組合員ならびに地域の皆様方へ」といった表現で、非組合員の利用を前提にしています。

准組合員の事業利用については、2015年の農協法改正の際に規制の在り方を検討する旨が定められましたが、2021年に規制は導入せず、各JAの判断に委ねる方針が示されました。准組合員がJA葬祭を利用することに、法令上の制限はありません。

なお、組合全体としては員外利用制限があり、組合員以外の利用分量は組合員の利用分量の5分の1を超えてはならないと定められています(農業協同組合法第10条第17項)。ただしこれは組合の事業量全体にかかる制限で、個々の利用者が窓口で断られる性質のものではありません。

JA葬祭の料金は安いのか|全国展開の葬儀社との比較

全国展開の葬儀社の現行プラン価格

JA葬祭の価格を評価するには、比較対象が要ります。全国展開している低価格帯の葬儀サービスの価格は次のとおりです。

プラン小さなお葬式(税込・割引後)よりそうお葬式(税込)イオンのお葬式(税込)
火葬式・直葬176,000円83,600円〜217,800円
一日葬330,000円297,000円〜360,800円
家族葬440,000円405,900円〜481,800円
一般葬605,000円643,500円〜734,800円

小さなお葬式の価格は資料請求による割引を適用した後の金額で、火葬料金は別途必要です。よりそうお葬式の価格は葬儀ポータル掲載の情報によります。

JA葬祭の公開価格と重ねると、価格帯はほぼ重なっています。家族葬でいえばJA葬祭の下限は33万円、全国展開の各社は29.7万円〜48.18万円で、JA葬祭が突出して安いわけでも高いわけでもありません。「農協だから安い」という前提は、少なくとも公開されている料金からは裏づけられません。

各社のプランに何が含まれ、どこで追加費用が出るのかは、小さなお葬式の口コミ・評判と追加費用の実態で具体的に解説しています。

JA葬祭を選ぶ判断基準

価格で決まらないのであれば、判断材料は中身になります。葬儀比較サイトに寄せられた利用者の投稿を見ると、評価の傾向がはっきり分かれます。JA東京中央セレモニーセンターの総合評価は29件ででした。

肯定的な評価で繰り返し挙がるのは、JAという組織への信頼感、担当者が地元の顔見知りで相談しやすいこと、見積・請求の透明性、そして葬儀後の名義変更や相続手続きのサポートです。一方で否定的な評価は、料理や返礼品の選択肢の少なさ、接遇のばらつき、営業時間外や管轄外の電話対応の不便さに集中していました。

⚠️ 口コミを読むときの注意:これらは葬儀社からの送客手数料を収益源とする比較サイトへの投稿で、低評価が集まりにくい構造があります。件数も3事業者で44件程度と少なく、2010年代の施行分も含まれています。

📌 JA葬祭が向いているケース:

  • すでに組合員で、割引の対象が葬儀代金全体になっている地域に住んでいる
  • 地域の慣習や寺院との関係を踏まえた進行を任せたい
  • 葬儀後の手続きも同じ窓口で相談したい

📌 他社も含めて検討したほうがよいケース:

  • 費用を最優先で考えている
  • 参列者が少なく、直葬や一日葬を想定している
  • オンラインで見積もりを取って比較したい

どちらの場合でも、葬儀形式・参列人数・希望する式場という同じ条件を指定して複数社から見積もりを取ることが前提です。条件をそろえないと、金額の差がサービスの差なのか条件の差なのか判別できません。取り方の手順は葬儀の見積もり比較のやり方と費用相場にまとめています。

まとめ

JAの葬祭事業に冠婚葬祭互助会はありません。あるのは定期積金という貯金と、入会金型・預り金型の会員制度です。定期積金は貯金保険で元本1,000万円までとその利息が保護され、中途解約でも元本は減りません。互助会の前受金保全が2分の1であることと比べると、この点はJA側の明確な強みです。

一方で、料金面の優位性は限定的です。組合員割引は1%から20%まで幅があり、しかも葬儀代金全体が対象か祭壇だけが対象かで実額が数倍変わります。実際に下がるのは数万円から十数万円で、全国展開の葬儀社と価格帯は重なっています。

料金を公開していないJAが6割近くある以上、地域の運営者を特定して見積もりを取る以外に金額を知る方法はありません。積立は費用の一部を用意しつつ割引の権利を得る手段と考え、不足分の準備と、同じ条件での複数社比較をあわせて進めてください。

よくある質問

JA葬祭に互助会はありますか?

ありません。冠婚葬祭互助会は経済産業大臣の許可を受けた前払式特定取引の事業者ですが、JAの葬祭事業は農協法に基づく組合の事業です。JAが用意しているのは定期積金(貯金)と会員制度です。

JAの葬儀積立を途中で解約すると損をしますか?

定期積金であれば元本は減りません。中途解約利率が適用されて利息が少なくなるだけです。ただし会員制度型は制度により扱いが異なり、「脱会による返金は出来ません」としているJAもあります。

組合員でなくてもJA葬祭を利用できますか?

利用できます。JAさいたま葬祭センターは公式FAQで「どなたでもご利用できます」と明記しています。ただし組合員価格は適用されません。

JA葬祭やすらぎの料金はいくらですか?

一律の料金はありません。「やすらぎ」はJAグループ共通のブランド名ではなく、地域ごとに別の運営者が使っている名称です。公開されている例では、家族葬で33万円から172万円まで開きがあります。

JA葬祭の家族葬はいくらくらいですか?

公開されている料金では33万円から172万円で、地域と事業者によって大きく異なります。プラン料金には飲食費・返礼品費・お布施が含まれないことが多いため、総額はこれより高くなります。

組合員割引でいくら安くなりますか?

実額で数万円から十数万円です。割引率は1%から20%まで幅がありますが、葬儀代金全体が対象か祭壇料金だけが対象かで実額が変わるため、金額で確認してください。

積立金だけで葬儀費用をまかなえますか?

難しいのが実情です。定期積金型で貯まるのは18万円から60万円程度で、家族葬の全国平均96.39万円には届きません。

葬儀費用の給付金は受け取れますか?

国民健康保険・後期高齢者医療制度の葬祭費(自治体により5万円〜7万円程度)や、健康保険の埋葬料(5万円)を申請できます。手続きは葬祭費・埋葬料の申請方法と受け取り手順で解説しています。

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参考サイト・出典:

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