突然の訃報に接し、「お花代」を用意しなければと思ったものの、香典との違いが分からず困惑していませんか?封筒の選び方、表書き、金額、渡すタイミング…調べる時間もないまま、「失礼にならないか」という不安を抱えたまま葬儀に参列した経験をお持ちの方は少なくありません。
特に近年は家族葬の増加により香典を辞退されるケースが増え、「お花代として渡せば良いのか」と新たな疑問が生まれています。実はお花代には**「供花の代金」と「香典代わり」という2つの意味**があり、状況に応じた適切な対応が必要です。
本記事では、豊富な調査と実例分析に基づき、お花代に関するマナーを網羅的に解説します。宗派別の正しい書き方、関係性に応じた相場、渡し方のタイミング、家族葬での対応方法、法事でのマナー、お返しの方法まで、あなたの疑問をすべて解決します。
封筒選びから金額の書き方まで、具体的な手順と文例を交えて説明しているため、初めての方でも自信を持って対応できるようになります。
この記事が、あなたの「困った」を「分かった」に変え、心のこもった弔意表現をサポートします。
お花代とは|香典との違いと2つの意味
葬儀のお花代(はなだい)は、日本の葬儀文化において重要な役割を持つ言葉ですが、実はふたつの異なる意味で使われています。これらは渡す相手や目的が大きく異なるため、状況に合わせた正しい使い分けが必要です。
供花の代金としてのお花代
💰 業者への支払いとしてのお花代は、葬儀の祭壇や会場に飾られる供花(きょうか)の代金を指します。
供花代金の特徴:
- 葬儀社や花屋に直接支払う生花の実費
- 通夜や告別式の祭壇を飾る花の代金
- 一般参列者なら1万円から1万5千円が相場
- 身内の場合は1万5千円から2万円程度
供花は故人の霊を慰め、遺族にお悔やみの気持ちを伝える目的があります。花籠やフラワーアレンジメント、フラワースタンドなど、会場の大きさや葬儀の規模に合わせて選ばれます。通夜に間に合うように手配するのが理想的ですが、告別式に間に合えば問題ありません。
香典代わりとしてのお花代
🌸 香典の代替としてのお花代は、特に家族葬などで香典を辞退している場合に、弔意を表すために遺族に渡すお金です。
香典代わりの花代の特徴:
- 遺族に直接渡す金銭
- 供花の実費という体裁をとりながら、実質的には香典に近い意味
- 近い親族の葬儀:3万円から5万円
- 知人や仕事関係者の葬儀:5千円から1万円程度
近年は家族葬が増加し、親族以外からの香典を辞退するケースが増えています。その場合に香典の代わりとして花代を包むことで、弔意を表現できます。また、宗派が不明な場合や四十九日を過ぎてから弔問する際にも、「お花代」として渡すことがあります。
香典とお花代の違い一覧表
項目 | 香典 | お花代(供花代金) | お花代(香典代わり) |
---|---|---|---|
渡す相手 | 遺族 | 葬儀社・花屋 | 遺族 |
目的 | 故人の冥福と葬儀費用の支援 | 供花の実費支払い | 香典辞退時の弔意表現 |
表書き | 御霊前・御仏前など | 御花代 | 御花代 |
準備方法 | 香典袋に包む | 封筒または直接支払い | 不祝儀袋に包む |
お返し | 香典返しが必要 | 基本的に不要 | 香典返しと同様 |
使用場面 | 一般的な葬儀 | 供花を注文した場合 | 家族葬・香典辞退時 |
📝 重要なポイント:香典と花代は別々に準備する必要があります。香典に加えて花代を用意する場合は、それぞれ別の封筒に包み、用途を明確にして渡しましょう。
家族葬での対応例:
- 香典辞退の場合:花代として包むことで弔意を表現
- 香典・花代とも辞退の場合:弔電やメッセージカードで弔意を表現
- 供花のみ受け取る場合:実際に花を手配するか、花代として包む
葬儀スタイルの多様化により、花代の意味も変化しています。事前に遺族や葬儀社に受け取り方針を確認しておくことで、適切な対応が可能になります。
お花代の書き方|封筒選びから表書きまで完全解説
葬儀のお花代を渡す際は、適切な封筒選びから正しい書き方まで、いくつかのマナーを守ることが重要です。宗派によって表書きが異なるため、事前に確認しておくことで失礼を避けられます。
封筒・のし袋の正しい選び方
お花代を包む封筒は、不祝儀袋または白無地の封筒を使用します。コンビニエンスストア、文房具店、仏具店などで購入できます。
📝 適切な封筒の特徴:
封筒の種類 | 使用可能な宗派 | 注意点 |
---|---|---|
白無地の封筒 | すべての宗派 | 最も無難な選択肢 |
黒白・銀の水引付き不祝儀袋 | すべての宗派 | 一般的な弔事用 |
蓮の柄がついた封筒 | 仏教のみ | 神式・キリスト教では使用不可 |
💰 包む金額に応じた封筒選び:
封筒のサイズや装飾は、中に入れる金額に合わせて選びましょう。5千円~2万円程度であれば、標準的な不祝儀袋で十分です。高額になるほど、より格式の高い水引を選ぶのがマナーです。
「御花代」と表書きが印刷された不祝儀袋が販売されている場合は、そちらを購入すると書き間違いを防げます。
表書きの書き方(宗派別対応)
表書きは薄墨(灰色の墨)で、封筒の中央よりやや上部に記入します。筆ペンや万年筆を使用して、丁寧に縦書きで書きましょう。
仏教の場合:「御花代」
最も一般的な表書きです。仏教のすべての宗派で使用できるため、宗派が不明な場合でも安心して使えます。
✍️ 書き方のポイント:
- 水引の上部中央に「御花代」と記入
- 水引の下部に送り主のフルネームを記入
- 文字の大きさは上下でバランスを取る
神道の場合:「御花料」
神式の葬儀では「御花料」と記入します。神道では花を神前に供える習慣があるため、この表書きが適切です。
キリスト教の場合:「献花料」
キリスト教の葬儀では「献花料」または「御花料」を使用します。プロテスタント・カトリックの両方で使用可能です。
宗派不明の場合の対処法
🤔 宗派がわからない時の対応:
故人や遺族の宗派が不明な場合は、以下の方法で対処できます:
- 「御花代」を使用:どの宗派でも失礼にならない万能な表書き
- シンプルな白無地封筒:宗教色のない封筒を選択
- 事前に確認:可能であれば葬儀社や親族に宗派を確認
裏面の記入方法と注意点
封筒の裏面には、金額と送り主の情報を記入します。これらの情報は、遺族がお返しを用意する際に重要な情報となります。
💴 金額の正しい書き方:
金額は改ざん防止のため、**漢数字(大字)**で記入します:
算用数字 | 正しい漢数字 | 間違った書き方 |
---|---|---|
5,000円 | 金伍千円 | 金5千円 |
10,000円 | 金壱万円 | 金1万円 |
30,000円 | 金参万円 | 金3万円 |
📋 記入必須項目:
- 金額:「金○○円」の形式で左側に記入
- 送り主氏名:フルネームで右側に記入
- 住所:省略せずに正確に記入
- 日付:葬儀の日付を記入(任意)
⚠️ 記入時の注意点:
- 薄墨で記入するのが正式とされる
- 文字は丁寧に、読みやすく書く
- 修正液・修正テープの使用は避ける
お札の入れ方とマナー
お花代に入れるお札の向きや状態にも、弔事特有のマナーがあります。
💵 お札の準備:
弔事では古札を使用するのがマナーです。新札しかない場合は、一度折り目をつけてから封筒に入れます。これは「急な出来事で新札を用意する時間がなかった」ことを表現するためです。
🔄 お札の入れ方:
- お札の向きを揃える
- 人物の顔が見えないよう裏返しにして入れる
- 複数枚ある場合は、すべて同じ向きで揃える
- 封筒に対してお札が曲がらないよう注意
💰 金額設定のマナー:
お花代の金額は奇数にするのが正式なマナーです:
- 適切な金額:5千円、1万円、3万円など
- 避けるべき金額:2万円、4万円、9万円など(偶数や忌み数字)
4(死)や9(苦)の数字は、仏教において忌み数字とされているため避けましょう。
お花代の相場と金額設定
お花代の金額は、供花の代金として渡すか、香典の代わりとして渡すかによって大きく異なります。また、故人との関係性や花の種類によっても相場が変わるため、適切な金額を把握しておくことが大切です。
供花代金としての相場
供花の代金としてお花代を渡す場合、実際に手配する花のタイプと規模に応じた金額を包みます。
一般的な供花の価格帯
供花の相場は立場によって異なります:
立場 | 相場金額 |
---|---|
一般参列者 | 1万円〜1万5千円 |
故人の身内・親族 | 1万5千円〜2万円 |
一般的な葬儀では、供花1基あたり1万5千円前後が標準的な相場となっています。ただし、小規模な家族葬では1万円程度、大規模な葬儀では2万円以上の供花が選ばれることもあります。
花の種類別相場(花籠・生花・花輪)
供花のタイプによって価格帯が異なります:
花の種類 | 相場金額 | 特徴 |
---|---|---|
花籠 | 5千円〜1万5千円 | 小規模な葬儀や自宅葬に適している |
生花(スタンド花) | 1万5千円〜2万円 | 一般的な葬儀で最も多く使われる |
花輪 | 1万円〜2万円 | 会場入口に飾る大型の供花 |
📌 注意点
葬儀会場によっては業者からの持ち込みが制限されている場合があります。供花を手配する前に、必ず葬儀社または遺族に確認しましょう。また、会場の広さによって適切な供花のサイズが異なるため、葬儀社に相談すると安心です。
香典代わりとしての相場
家族葬の増加により、香典を辞退するケースが増えています。その場合、お花代として金銭を包むことで弔意を表すことができます。
関係性別の金額目安
香典代わりのお花代は、故人との関係性の深さによって金額が変わります:
関係性 | 相場金額 |
---|---|
両親 | 3万円〜10万円 |
兄弟姉妹 | 3万円〜5万円 |
祖父母 | 1万円〜5万円 |
おじ・おば | 1万円〜3万円 |
知人・友人 | 5千円〜1万円 |
仕事関係者 | 5千円〜1万円 |
親族の場合は、他の兄弟姉妹がいれば事前に相談し、金額を揃えることをおすすめします。金額の差が大きいと、遺族に気を遣わせることになりかねません。
家族葬での花代相場
家族葬で香典を辞退されている場合の一般的な相場:
💰 家族葬での花代目安
- 近い親族:3万円〜5万円
- 知人・同僚:5千円〜1万円
- 葬儀に参列できなかった場合:通常の香典と同額程度
家族葬では、香典だけでなくお花代も辞退するケースがあります。事前に遺族や葬儀社に受け取り方針を確認することで、後々のトラブルを避けられます。
地域による相場の違い
お花代の相場や習慣は地域によって異なる場合があります。
🗾 地域差の例
- 供花の基数:関東では1基、関西では1対(2基)を贈る地域もある
- 花輪の有無:都市部では減少傾向、地方では今も一般的な地域もある
- お返しの慣習:返礼品を贈る地域と「花は花で返す」という地域がある
特に地方の葬儀に参列する場合や、初めて訪れる地域での葬儀では、地元の親族や葬儀社のスタッフに相談するのが確実です。また、同じ地域の参列者と金額を合わせることで、極端に高額・少額になることを避けられます。
⚠️ 金額選びの重要なポイント
お花代は高ければ良いというものではありません。高額すぎると、遺族は返礼品の準備で負担が増えます。相場に沿った適切な金額を包むことが、遺族への配慮につながります。
お花代の渡し方とタイミング
お花代を適切に渡すには、注文ルートや支払先を正確に把握することが重要です。供花を直接注文したのか、喪主を通じて手配したのかによって、渡し方が大きく異なります。
葬儀当日の渡し方
受付での渡し方
多くの葬儀では受付が設けられており、一般参列者はそこでお花代を渡すのが基本です。
📝 受付で渡す際の手順:
- 香典とは別の封筒に「御花代」と表書きしたものを用意する
- 受付では「これはお花代です。喪主様にお渡しください」と明確に伝える
- 領収書が必要な場合は、その場で申し出る
受付が混雑している場合は、簡潔に用件を伝え、後ろの方を待たせないよう配慮することも大切です。香典とお花代を同時に渡す場合は、「こちらは香典、こちらは供花の代金です」と明確に伝えると、受け取る側も混乱しません。
喪主への直接手渡し
喪主を通じて供花を注文した場合や、喪主が立て替えている場合は、お花代を喪主へ直接渡す必要があります。
🎯 喪主に渡す場合のポイント:
- 封筒に「御花代」と表書きし、裏面に金額と送り主の名前・住所を記入する
- 通夜か告別式の際に喪主へ手渡しするのが基本的なマナー
- 親族が代理で受け取る場合もあるため、確実に喪主へ渡るよう伝言を添える
故人の家族として参列する場合で、遺族と親しい関係であれば、封筒に包まず直接手渡ししても問題ありません。一方で、故人・遺族との付き合いが薄い場合は、不祝儀袋にお花代を包んで渡してください。
葬儀社への支払い方法
花屋や葬儀社に直接注文した供花の場合、支払い方法には以下の選択肢があります。
💳 支払い方法の種類:
- 通夜・告別式当日の支払い:式に参列した際に葬儀社の事務所で直接支払う
- 後日振込:業者指定の口座に振り込む方法で、請求書と共に振込先情報が提供される
- 事前決済:一部の葬儀社ではクレジットカードやオンライン決済に対応している場合がある
支払い方法は業者によって異なるため、注文時に確認しておくことをおすすめします。不明点があれば葬儀社のスタッフに直接質問することで混乱を避けられます。
葬儀社に供物を直接注文したケースでは、受付やスタッフの方に「供物の支払いをしたい」と伝えると精算場所を案内してもらえます。この場合は、不祝儀袋に包む必要はなく、財布から直接支払ってもマナー違反ではありません。
後日渡す場合のマナー
やむを得ず後日お花代を渡す場合は、適切なタイミングと方法を守ることが重要です。
適切なタイミング
⏰ 後日渡す際のタイミング:
- できるだけ早く(葬儀から1週間以内を目安に)渡すのがマナー
- 遅くとも四十九日法要までに渡すのが一般的
- 直接訪問する場合は事前に連絡を入れ、都合の良い時間を確認する
葬儀に参列できなかった場合や、香典辞退の家族葬で後日お花代を渡す場合も、この期間を目安にしましょう。ただし、四十九日を過ぎてから弔問する場合は、香典として渡すことができないため、表書きを「お花代」とするのが適切です。
訪問時の挨拶例文
後日直接訪問してお花代を渡す場合の挨拶例:
💬 基本的な挨拶例:
「この度は〇〇様のご逝去、誠に痛恨の極みでございます。葬儀に参列できず失礼いたしました。本来なら当日にお渡しすべきところ、遅くなり申し訳ありません。故人様のご冥福をお祈りし、ささやかながらお花代としてお納めください。」
訪問時には「本来なら当日にお渡しすべきところ、遅くなり申し訳ありません」という一言を添えると丁寧です。遺族の負担を考慮し、長居は避けて短時間で済ませるよう配慮しましょう。
郵送する場合の方法
どうしても直接訪問できない場合は、郵送でお花代を渡すことも可能です。
📮 郵送時の注意点:
- 必ず現金書留を利用する(普通郵便での現金送付は違法)
- 同封の手紙に遅れた経緯を簡潔に説明する
- お悔やみの言葉と故人のご冥福を祈る言葉を添える
現金書留用の封筒は郵便局で購入でき、その中に不祝儀袋ごと入れて送ります。手紙の文面は簡潔にまとめ、「葬儀に参列できず申し訳ございません」「故人のご冥福を心よりお祈り申し上げます」といった内容を含めると良いでしょう。
家族葬で香典辞退の場合の対応
近年増加している家族葬では、遺族が参列者からの香典を辞退していることが多く、お花代の扱いにも注意が必要です。
🏠 家族葬での対応パターン:
状況 | 対応方法 |
---|---|
香典のみ辞退 | お花代として金銭を包むか、供花を贈る |
香典・供花とも辞退 | 遺族の意向を尊重し、無理に渡さない |
後日弔問を希望 | 事前に連絡して意向を確認する |
香典を辞退されている場合でも、お花代なら受け取ってもらえるケースがあります。これは、葬儀に使用する供花の実費という位置づけで受け取るためです。ただし、「一切の金品辞退」と明記されている場合は、遺族の意向を尊重することが最優先です。
✨ 香典・花代を辞退された場合の代替案:
- 心のこもった弔電を送る
- 後日、故人を偲ぶメッセージカードを送る
- 四十九日や一周忌などの法要の際に供物を贈る
家族葬の場合は、事前に遺族や葬儀社に香典や花代の受け取り方針を確認しておくことが望ましいでしょう。不安な場合は、葬儀社のスタッフに相談するのが確実です。葬儀社では、家族葬における金品の扱いについて経験豊富なアドバイスが得られます。
時代とともに葬儀のスタイルは変化していますが、弔意を表す気持ちは変わりません。香典も花代も、故人を偲び、遺族を気遣う気持ちを形にしたものであることを忘れないようにしましょう。
法事・法要でのお花代
法事や法要におけるお花代は、葬儀とは扱い方や相場が異なります。特に四十九日法要・一周忌・三回忌などの重要な法要では、供花を手配するのが一般的です。ここでは、法事特有のお花代のマナーと対応方法を解説します。
法事でのお花代の扱い方
法事におけるお花代は、葬儀時ほど大規模な供花ではなく、仏花や盛り花として比較的小ぶりなものを用意するのが一般的です。
📋 法事でお花代を用意する主な法要:
- 四十九日法要:故人が仏になる重要な節目
- 一周忌:命日から満1年の法要
- 三回忌:命日から満2年の法要
- 七回忌:命日から満6年の法要(以降は省略されることも)
近年では、法事に対する考え方が多様化しており、参列者の予算や供花を持ち帰ることを考慮して、1基のお花を用意するケースが増えています。
注意ポイント:法事では葬儀のような大型のフラワースタンドは使用せず、仏壇に飾れるサイズのアレンジメントや花籠を選びます。
一周忌・三回忌での相場
法事でのお花代の相場は、葬儀時よりも控えめな金額設定となります。
法要の種類 | お花代の相場 | 備考 |
---|---|---|
四十九日法要 | 5,000円〜10,000円 | 重要な節目のため比較的高め |
一周忌 | 3,000円〜5,000円 | 標準的な相場 |
三回忌 | 3,000円〜5,000円 | 一周忌と同程度 |
七回忌以降 | 3,000円前後 | 簡略化される傾向 |
故人との関係性による調整:
- 近親者(配偶者・子ども・親・兄弟姉妹):5,000円〜10,000円
- 親族(甥姪・いとこなど):3,000円〜5,000円
- 友人・知人:3,000円〜5,000円
地域によっては相場が異なる場合があるため、同じ立場の親族や知人に確認しておくと安心です。
法事用の書き方と表書き
法事でのお花代は、葬儀時とは異なる表書きを使用します。
📝 表書きの書き方:
仏教の場合:
- 「御仏前」(ごぶつぜん):四十九日法要以降の一般的な表書き
- 「御花料」(おはなりょう):宗派を問わず使用可能
- 「御供花料」(おくげりょう):供花代として明確に示す場合
神道の場合:
- 「御花料」または「御玉串料」
浄土真宗の場合:
- 四十九日前でも**「御仏前」**を使用(他の宗派と異なる)
書き方の基本マナー:
- 薄墨ではなく通常の墨を使用(葬儀とは異なる)
- 水引の上に表書き、下に氏名を縦書き
- 金額は漢数字の大字で記入(金参仟円、金伍仟円など)
- 裏面に住所と氏名、金額を記入
封筒の選び方:
- 白無地の封筒:最も無難な選択
- 結び切りの水引がついた不祝儀袋:3,000円以上の場合
- 蓮の柄の封筒:仏教式の法事の場合のみ使用可能
法事では、葬儀のような華美な不祝儀袋は避け、シンプルなものを選ぶのがマナーです。
法事に参列できない場合の対応
やむを得ず法事に参列できない場合でも、弔意を示すことができます。
🎁 参列できない場合の対応方法:
事前にお花を送る場合:
- 法要の1週間〜3日前までに届くよう手配
- 花屋や葬儀社に「法事用」と伝えて注文
- 自宅に届くサイズのアレンジメントを選ぶ
- 立札(名札)に「御供」と差出人名を記載
お花代を郵送する場合:
- 不祝儀袋を現金書留で送付
- 法要の1週間前までに届くよう手配
- 手紙を同封して参列できない理由とお詫びを記載
挨拶文の例文:
この度は○○様の○回忌法要にお招きいただき、誠にありがとうございます。
誠に残念ながら、やむを得ない事情により参列できず、大変申し訳ございません。
心ばかりではございますが、御供花料としてお納めください。
○○様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
後日弔問する場合:
法事後に改めて弔問する際の適切なタイミング:
- お彼岸:春分の日・秋分の日を中心とした前後3日間
- お盆:8月13日〜16日(地域により7月)
- 命日の前後:故人の命日に合わせた日程
弔問時は、お花や菓子折りなどのお供え物を持参し、簡単な仏壇参りをさせていただくのが礼儀です。
重要な注意点:
- 遺族が「香典・お花代辞退」を明示している場合は、その意向を尊重する
- 法事の規模や形式によって対応を変える(家族のみの小規模法要など)
- 不明な点があれば、遺族や葬儀社に事前に確認する
法事でのお花代は、故人を偲び、遺族への配慮を示す大切なものです。適切なマナーを守って弔意を表しましょう。
お花代のお返しとお礼
頂いた花代のお返し基本ルール
葬儀で頂いたお花代に対しては、香典返しと同様に適切なお返しをすることがマナーとされています。ただし、お花代の性質によって対応が異なる点に注意が必要です。
基本的な考え方は、香典返しと同様に**「半返し」**です。頂いた金額の半分程度の価値がある品物を選ぶのが一般的とされています。
📋 お花代の性質別対応:
お花代の種類によって対応が異なります:
- 遺族へ渡された花代(香典代わり):香典返しと同様に返礼品を贈る
- 業者へ直接支払われた供花代金:お礼状や電話での感謝の意を伝える
返礼のタイミングは、通常の香典返しと同じく四十九日法要後が一般的です。忌明け後に、お礼状と返礼品を送付します。
返礼品の選び方と相場
お花代のお返しに適した品物には、消えものや実用品が選ばれる傾向にあります。
🎁 定番の返礼品:
- お茶・海苔:日持ちがよく誰にでも喜ばれる
- タオル・ハンカチ:実用的で困らない品物
- カタログギフト:相手の好みに合わせて選べる
- お菓子・調味料:消えものとして適切
金額の目安は、頂いた金額の3〜5割程度が適切とされています。
頂いた花代の金額 | お返しの相場 |
---|---|
5,000円 | 1,500〜2,500円 |
10,000円 | 3,000〜5,000円 |
30,000円以上 | 10,000〜15,000円 |
⚠️ 品物選びの注意点:
宗教的な配慮も忘れずに:
- 仏教の場合:特に制限はないが、四つ足の動物関連品は避ける
- 神道の場合:仏教色の強い品物は避ける
- キリスト教の場合:宗教色のない品物を選ぶ
地域による習わしの違い
お花代のお返しは地域によって習慣が大きく異なることがあります。地域の慣習を知らずに対応すると、かえって失礼になる場合もあるため注意が必要です。
🗾 地域別の主な習わし:
- すぐに返礼する地域:葬儀から1ヶ月〜49日以内に品物を贈る(最も一般的)
- 後日返す地域:頂いた家に不幸があったときに供花を贈り返す「花は花で返す」という考え方
- 返礼不要の地域:花代に対して品物での返礼を行わない地域もある
地域の習わしを知る方法:
地域特有の習慣を確認するには以下の方法があります:
- 地元の年配者や親族に確認する:最も確実な方法
- 葬儀社のスタッフに相談する:地域の慣習に詳しい
- 近隣の習慣に詳しい人に尋ねる:町内会長や民生委員など
特に都市部への転居や地方での葬儀の場合は、事前に確認しておくと安心です。
お礼状の書き方と例文
花代に「お返し不要」と記載があった場合や、地域の習慣で返礼が不要な場合でも、何らかの形でお礼の意を伝えることは必須です。
✉️ お礼を伝える方法:
- 礼状を送る:最も丁寧な方法
- 電話での挨拶:親しい間柄では電話でも可
- 直接会った時の口頭挨拶:次に会った際に改めて感謝を伝える
お礼状の基本構成は以下の通りです:
- 拝啓などの頭語
- 時候の挨拶(省略可)
- お花代への感謝
- 故人を偲んでくれたことへの感謝
- 今後のお付き合いのお願い
- 敬具などの結語
お礼状の文例:
拝啓
この度は、亡き○○の葬儀に際しまして、ご丁重なるお花代を賜り、誠にありがとうございました。
故人の生前のお付き合いに深く感謝申し上げますとともに、温かいお心遣いに心より御礼申し上げます。
本来であれば直接お伺いしてお礼を申し上げるべきところ、略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます。
今後とも変わらぬご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具
令和○年○月○日
(氏名)
📝 供花の記録と管理:
複数の供花や花代を受け取った場合は、後々のお返しに備えて記録を残しておくことをおすすめします:
- 葬儀社から供花の一覧表をもらう:誰から何を頂いたか明確になる
- 開式前に供花や花輪の写真を撮る:視覚的な記録として残せる
- 受け取った花代の金額と送り主を控える:お返しの金額設定に必要
- 住所録を整備する:返礼品送付時にスムーズ
これらの記録があれば、適切なお返しをスムーズに行うことができます。特に親族が多い場合や、会社関係の方からも多数頂いた場合は、記録管理が重要になります。
よくある質問(FAQ)
- 香典とお花代を両方渡しても良いですか?
-
一般的な葬儀では問題ありません。ただし、それぞれ別の封筒に包み、受付で「こちらは香典、こちらはお花代です」と用途を明確に伝えましょう。家族葬で香典辞退の場合は、お花代のみを渡すのが適切です。
- お花代の金額は漢数字で書くべきですか?
-
はい。裏面の金額は漢数字(大字)で記入するのがマナーです。「金壱万円」「金参千円」のように書き、改ざん防止のため「金」の文字を先頭につけます。アラビア数字は改ざんしやすいため、弔事の場面では使用しないようにしましょう。
- 家族葬でお花代も辞退されている場合は?
-
遺族の意向を尊重し、無理に渡そうとしないことが大切です。代わりに弔電やメッセージカード、後日の弔問で弔意を表しましょう。四十九日や一周忌などの法要の際に供物を贈る方法もあります。
- お花代を後日渡す場合の期限は?
-
四十九日法要までに渡すのが一般的です。直接訪問する場合は事前に連絡を入れ、都合の良い時間を確認しましょう。郵送する場合は現金書留を利用し、経緯を説明する手紙を同封します。
- 「御花代」と「御花料」の違いは?
-
「御花代」は宗派を問わず使用可能で、最も無難な表書きです。一方、「御花料」は主に神道やキリスト教で使用されます。仏教の葬儀では「御花代」を使うのが一般的です。宗派が不明な場合も「御花代」を選べば問題ありません。
- 法事でのお花代の相場は?
-
一般的に3千円〜5千円程度が相場です。四十九日・一周忌・三回忌などの重要な法要では、7回忌まで供花を手配してお花代を包むことが多いとされています。ただし、地域や故人との関係性によって異なる場合があります。
- お花代に新札は使っても良いですか?
-
弔事では古札(使用済みのお札)を使用するのがマナーです。「不幸を予期していなかった」という意味を込めるためです。新札しか手元にない場合は、一度折り目をつけてから封筒に入れることで対応できます。
- 複数人でお花代を包む場合の書き方は?
-
4名以上の場合は「○○一同」と記載し、別紙に全員の氏名を記入して同封します。3名以下の場合は全員の名前を右から順に書きます。会社や部署単位の場合は「株式会社○○営業部一同」のように記載するのが一般的です。
まとめ
お花代には供花の代金と香典代わりという2つの意味があり、状況に応じた適切な対応が必要です。
書き方は宗派に合わせて表書きを選び、仏教では「御花代」、神道では「御花料」、キリスト教では「献花料」と記入します。封筒は白無地または不祝儀袋を使用し、裏面には漢数字で金額を記載しましょう。
相場は供花代として1万円〜2万円、香典代わりとして関係性に応じて5千円〜5万円程度が目安です。渡し方は状況により異なり、受付で渡す場合と喪主へ直接渡す場合があります。
近年は家族葬の増加により香典辞退のケースが増えているため、お花代の知識は現代の葬儀マナーとして重要です。ただし、花代も辞退されている場合は遺族の意向を尊重し、弔電や後日の弔問で弔意を表しましょう。