突然喪主を務めることになり、葬儀での挨拶に不安を感じていませんか。喪主挨拶でカンペ(メモ)を見ながら話すのはマナー違反ではありません。葬儀社のスタッフも「カンペの準備をおすすめします」と助言するほど、一般的なことです。
本記事では、通夜・告別式・出棺・精進落としで使える喪主挨拶の例文を場面別にまとめました。読み上げ時間の目安も記載しているため、印刷してそのままカンペとして使えます。葬儀で避けるべき禁句・忌み言葉の一覧や、家族葬・突然死・高齢での大往生など状況別の例文も用意しています。
喪主挨拶でカンペを見ながら話しても問題ない

喪主挨拶でカンペを見ながら話すことは、マナー違反ではありません。
喪主は故人にもっとも近い存在であり、深い悲しみの中で葬儀全体を取り仕切る立場にあります。挨拶以外にも葬儀社との打ち合わせや参列者への対応など、こなすべき役割が多く、挨拶文をすべて暗記するのは現実的ではありません。
大切なのは挨拶を完璧に暗唱することではなく、参列者への感謝と故人を偲ぶ気持ちを確実に伝えることです。カンペを用意しておくことで、緊張や感情の高ぶりで頭が真っ白になった場合でも、伝えたい内容を落ち着いて話すことができます。
カンペを使うことがマナー違反にならない理由
葬儀の場では、通夜から精進落としまで複数回の挨拶が求められます。故人の享年や亡くなった日時、翌日の葬儀日程など、正確に伝えるべき情報も含まれるため、メモを見ながら話すことはむしろ合理的な準備です。
プロの司会者でも原稿を見ながら進行します。挨拶を覚える自信がある方でも、万が一に備えてカンペを準備しておくと安心です。
スマホではなく紙に書くのが無難
カンペは紙に書いて準備するのが無難です。スマートフォンのメモ機能は修正しやすく便利ですが、葬儀には年配の参列者も多く、「葬儀の場でスマホを見ながら話すのはマナーがなっていない」と感じる方もいます。
不要なトラブルを避けるためにも、便箋やメモ用紙に手書きまたは印刷して準備しましょう。派手な色や柄の紙は避け、白や落ち着いた色のものを選ぶのが適切です。
喪主挨拶のカンペの作り方と用紙の選び方

カンペを準備する際は、内容の構成・文字の見やすさ・用紙の選び方を意識するだけで、当日の安心感が大きく変わります。
挨拶文の基本構成(感謝→故人の報告→エピソード→感謝・締め)
喪主挨拶はどの場面でも基本的な構成が共通しています。この型を理解しておけば、テンプレートの【故人】や○○の部分を自分の状況に合わせて書き換えるだけで、オリジナルの挨拶文が作れます。
| 構成要素 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 参列のお礼 | 忙しい中お越しいただいた感謝 | 「本日はお忙しいところ〜ありがとうございました」 |
| 故人の報告 | 亡くなった日時・享年・簡潔な経緯 | 「○月○日○時○分に息を引き取りました」 |
| 故人のエピソード | 人柄や思い出を1〜2つ | 「退職後は○○を楽しんでおりました」 |
| 生前の感謝 | 皆様の厚情への御礼 | 「皆様のご厚情のおかげと深く感謝しております」 |
| 締めの言葉 | 今後のお願い・翌日の案内 | 「変わらぬご指導ご厚誼を賜りますよう〜」 |
通夜では「翌日の葬儀・告別式の案内」、精進落としでは「四十九日法要の案内」など、場面に応じて締めの内容を変えます。
エピソードの選び方と入れ方のコツ
挨拶文の中で最も個性が出るのが故人のエピソード部分です。テンプレートをそのまま使う場合でも、ここだけは自分の言葉で書くと心のこもった挨拶になります。
🔹 エピソード選びのポイント:
- 参列者の多くが共感できる話題を選ぶ(仕事ぶり、趣味、家族との関係など)
- 1〜2つに絞る(長くなりすぎないよう注意)
- ポジティブな内容にする(闘病の苦しみの詳細などは避ける)
🔹 入れ方の例:
- 「在職中は仕事一筋でしたが、退職後は○○という趣味を得て楽しんでおりました」
- 「最期まで食欲もあり、私どもとの会話も楽しみ、穏やかな日々を過ごしておりました」
故人との思い出は感情が高ぶりやすい箇所でもあります。声が詰まりそうな場合に備え、エピソード部分を省略した短縮版も準備しておくと安心です。
読み上げ時間の目安と文字数(1分≒300文字)
喪主挨拶の適切な長さは1〜3分程度です。短すぎると素っ気ない印象になり、長すぎると参列者の負担になります。
| 長さ | 文字数の目安 | 適した場面 |
|---|---|---|
| 約1分 | 約300文字 | 通夜ぶるまい開始・終了、僧侶への挨拶など短い場面 |
| 約2分 | 約600文字 | 通夜終了時・出棺時(短縮版) |
| 約3分 | 約900文字 | 通夜終了時・出棺時(標準版、エピソード付き) |
緊張すると早口になりがちなので、普段よりゆっくり話すことを意識して時間を計っておくと本番に近い感覚がつかめます。
文字サイズ・行間・紙質の実践ポイント
カンペは「緊張状態でも読めること」が最優先です。
| 項目 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 文字サイズ | 14ポイント以上 | 緊張で視野が狭くなっても読みやすい |
| 行間 | 1.5倍以上 | 視線移動がスムーズになる |
| 紙質 | 厚手の紙やカード | 手が震えても音が立たない |
| 強調 | 重要部分を色ペンでマーク | 一目で強調箇所がわかる |
カンペの構成例(印刷レイアウト):
【冒頭の感謝】
本日はお忙しいところ、○○の葬儀にお越しいただき、
まことにありがとうございました。
【故人の最期について】(★ゆっくり話す)
○○は○月○日○時○分、
○歳で息を引き取りました。
【エピソード】(★感情を込めて)
生前は...(具体的なエピソード)
【感謝と締め】
皆様のご厚情に深く感謝申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
練習方法と本番での心構え
カンペが完成したら、必ず声に出して練習してください。頭の中で読むだけでは、本番での話すスピードや息継ぎのタイミングがつかめません。
🔹 練習のステップ:
- 一人で音読練習(3〜5回)→ 読み上げ時間を計測する
- 家族の前で練習(1〜2回)→ 聞き取りやすさを確認してもらう
- 本番と同じ姿勢で最終確認 → 立った状態でカンペを持って読む
🔹 本番の心構え:
- 完璧を求めない:たどたどしくても気持ちは伝わります
- 参列者は味方:皆が温かく見守ってくれています
- 深呼吸:挨拶前に大きく息を吸って心を落ち着けましょう
- 読み切れない場合の短縮版も準備しておく
通夜から告別式まで|喪主が挨拶する場面の一覧

初めて喪主を務める方は「いつ・何回・誰に向けて挨拶するのか」が分からず不安になりがちです。以下の表で全体像を把握し、必要な例文を事前に準備しておきましょう。
| タイミング | 挨拶の相手 | 内容 | 目安時間 |
|---|---|---|---|
| 通夜:準備段階 | 世話係・お手伝いの方 | 自己紹介とお願い | 30秒 |
| 通夜:僧侶到着時 | 僧侶 | お迎えの挨拶・控室案内 | 30秒 |
| 通夜:参列者到着時 | 参列者(個別) | 弔問のお礼 | 一言 |
| 通夜:終了時 | 参列者全員 | 弔問のお礼・翌日の案内 | 2〜3分 |
| 通夜:ぶるまい開始 | 参列者全員 | 会食の案内・献杯の依頼 | 1分 |
| 通夜:ぶるまい終了 | 参列者全員 | お礼・翌日の案内 | 1分 |
| 告別式:僧侶到着時 | 僧侶 | 前日のお礼と当日のお願い | 30秒 |
| 告別式:出棺時 | 参列者全員 | 最も重要な挨拶(感謝・エピソード) | 2〜3分 |
| 告別式後:お布施 | 僧侶 | 感謝とお布施を渡す | 30秒 |
| 精進落とし:開始 | 参列者全員 | 会食の案内・献杯の依頼 | 1分30秒 |
| 精進落とし:終了 | 参列者全員 | お礼・四十九日の案内 | 1分30秒 |
すべての場面で長い挨拶が必要なわけではありません。最も重要なのは通夜終了時と出棺時の挨拶で、その他の場面は一言〜数十秒の短い挨拶で十分です。
通夜の喪主挨拶例文【カンペ対応】

例文中の**【故人】や○○の部分**は、実際の故人の名前や状況に合わせて書き換えてください。
通夜終了時の挨拶(短縮版・標準版)
短縮版(読み上げ時間:約2分)
本日はお忙しいところ、【故人】のためにお越しいただき、まことにありがとうございました。
【故人】は、○月○日○時○分に息を引き取りました。享年○歳でございました。
皆様の生前のご厚誼に、深く感謝申し上げます。
なお、葬儀・告別式は、明日午前○時より、この斎場でとり行いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日はまことにありがとうございました。
標準版(読み上げ時間:約3分)
本日はお忙しいところ、【故人】のためにお越しいただき、まことにありがとうございました。
【故人】は、持病の○○のため入院しておりましたが、昨日○時○分に息を引き取りました。享年○歳でございました。
まだ、長生きしてほしかったという思いはありますが、最近まで趣味の○○を楽しみ、幸せな人生だったと存じております。
たくさんの仲間の方にも恵まれ、充実した人生だったのではないかと気持ちを慰めております。
これもひとえに、皆様のご厚情のおかげと、深く感謝しております。
なお、葬儀・告別式は、明日午前○時より、この斎場でとり行いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日はまことにありがとうございました。
通夜ぶるまい開始・終了の挨拶
開始の挨拶(読み上げ時間:約1分)
皆様、お忙しいところ、【故人】のためにお時間をいただき、まことにありがとうございます。
【故人】もさぞ喜んでいることと存じます。
【故人】の在りし日のことなどをお聞かせ願えればと、別室にささやかなお食事などを用意しております。
では、ささやかな席ではございますが、始めることにいたしましょう。
○○さん、献杯のご挨拶をお願いできますでしょうか。
故人を悼む意味で、「乾杯」ではなく「献杯(けんぱい)」を行います。献杯の発声は故人と親しかった方や年長者に事前に依頼しておきましょう。
終了の挨拶(読み上げ時間:約1分)
皆様、本日は本当にありがとうございました。
ご遠方の方もいらっしゃいますので、この辺りで終了とさせていただきます。
なお、明日の葬儀・告別式は○時からこの斎場で行います。ご都合がつきましたらご会葬いただければと存じます。
どうぞ足元に気をつけてお帰りください。本日は誠にありがとうございました。
僧侶を迎える時・参列者への受付挨拶
僧侶を迎える時の挨拶
| 場面 | 挨拶例文 |
|---|---|
| 通夜当日 | お忙しい中、お運びいただきましてありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。 |
| 告別式当日 | おはようございます。昨日は大変ご丁寧なお勤めと御法話をいただき、まことにありがとうございました。本日もどうぞよろしくお願いいたします。 |
僧侶が到着したら喪主が最初に挨拶します。控室がある場合は案内も合わせて行いましょう。
参列者への受付挨拶
基本パターンは「お忙しい中、お参りいただきありがとうございます」で十分です。
🔹 状況別バリエーション:
- 遠方からの参列者:「遠いところ、わざわざお参りいただき」
- 仕事関係者:「お忙しい中、お時間を作っていただき」
- ご高齢の方:「足元の悪い中、お参りいただき」
葬儀の受付は誰がやる? 依頼する相手の選び方と挨拶マナーの記事では、受付係の役割について詳しく解説しています。
告別式・出棺の喪主挨拶例文【カンペ対応】

告別式は故人を送り出す最後の儀式です。特に出棺時の挨拶は葬儀で最も重要な挨拶とされています。
告別式終了・出棺時の挨拶(短縮版・標準版)
出棺時には、参列者全員に対して祭壇前で挨拶を行います。
🔹 挨拶に含める4つの要素:
- 参列への感謝:忙しい中お越しいただいたことへのお礼
- 故人の最期:亡くなった状況の簡潔な説明
- 故人の人柄:生前の様子やエピソード
- 遺族の決意:今後のお願いや感謝の気持ち
短縮版(読み上げ時間:約2分)
本日はお忙しいところ、【故人】の葬儀・告別式にご会葬いただき、誠にありがとうございました。
【故人】は○月○日○時○分、眠るように息を引き取りました。享年○歳でございました。
皆様のご厚情のおかげと、深く感謝しております。
残された私どもに対しましても、変わらぬご指導ご厚誼を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
本日は最後までご丁寧な見送りをいただき、誠にありがとうございました。
標準版(読み上げ時間:約3分)
本日はお忙しいところ、【故人】の葬儀・告別式にご会葬いただき、誠にありがとうございました。
実はここ数年○○して過ごしておりましたが、一昨日○時○分、眠るように息を引き取りました。享年○歳でございました。
在職中は**仕事一筋だった【故人】**ですが、退職後は○○という趣味を得て楽しんでおりました。
たくさんの仲間の方にも恵まれ、充実した人生だったのではないかと気持ちを慰めております。
これもひとえに、皆様のご厚情のおかげと、深く感謝しております。
残された私どもに対しましても、変わらぬご指導ご厚誼を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
本日は最後までご丁寧な見送りをいただき、誠にありがとうございました。
お布施を渡す時の挨拶と作法
還骨法要の終了後に、僧侶へお布施を渡します。
ご住職様のお心のこもったお勤めのおかげで、無事に葬儀をとり行うことができました。本当にありがとうございます。こちらは、私どもの気持ちでございます。
🔹 渡し方の作法:
- **袱紗(ふくさ)**に包んだ封筒を取り出し、**切手盆(きってぼん)**の上に載せて差し出す
- 切手盆がない場合は、袱紗の上に載せて両手で丁寧に差し出す
- 金額についての言及は避け、「お気持ち」として表現する
お布施の金額相場についてはお布施の相場はいくら? 葬儀・法要の適正金額と費用を抑えるコツ、袱紗の使い方については葬儀の袱紗(ふくさ)の包み方と渡し方で詳しく解説しています。
精進落とし開始・終了の挨拶
精進落としとは、還骨法要後に行われる会食のことです。「精進料理から通常の食事に戻す」という意味があり、故人を送り出した後の区切りとなります。
開始の挨拶(読み上げ時間:約1分30秒)
昨日、そして本日と、皆様にはひとかたならぬお世話になり、誠にありがとうございました。
おかげさまで滞りなく葬儀を済ませることができました。【故人】もさぞ感謝していることと存じます。
ささやかではございますが、皆様への感謝の一席を設けました。どうぞごゆっくりおくつろぎになってお過ごしいただければと存じます。
○○さん、献杯のご発声をお願いできますでしょうか。
終了の挨拶(読み上げ時間:約1分30秒)
本日は、誠にありがとうございました。
席上、私どもも知らなかった**【故人】の話**なども伺うことができまして感無量です。まだ思い出話を伺いたいところですが、あまり長くお引き留めしてもご迷惑と存じまして、この辺で終了とさせていただきます。
なお、四十九日法要は○月○日を予定しております。
どうか、今後ともよろしくお願い申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
状況別の喪主挨拶例文

故人の亡くなり方や葬儀の規模によって、挨拶の内容や表現は変わります。それぞれの状況に応じた適切な配慮と表現方法を紹介します。
家族葬での挨拶(通夜・告別式)
家族葬では親族中心の温かい雰囲気を大切にし、堅苦しすぎない自然な表現を心がけましょう。少人数のためマイクを使わない場合も多く、より親しみやすい口調で構いません。
通夜での挨拶例(家族葬)
皆様、今日はお疲れさまでした。
【故人】も、こうして家族や親しい方々に囲まれて、きっと安心していることと思います。
急なことで皆様にはご心配とご迷惑をおかけしましたが、こうして集まっていただき、【故人】への最後のお別れができることを、心より感謝しております。
明日の葬儀も、どうぞよろしくお願いいたします。
告別式での挨拶例(家族葬)
皆様、昨日そして本日と、【故人】のためにお時間をいただき、本当にありがとうございました。
家族だけの小さな葬儀ではございましたが、【故人】が生前大切にしていた皆様に見送っていただき、【故人】も私どもも、心から感謝しております。
【故人】は最期まで「家族に迷惑をかけたくない」と言っておりましたが、こうして温かく送り出していただき、きっと安心していることと存じます。
家族葬の費用については家族葬の費用相場は106万円 香典を引いた実質負担と5人〜20人の目安で解説しています。
突然死・急逝の場合の挨拶
突然の死に対する挨拶では、遺族の動揺と参列者への配慮の両方を考慮した表現が必要です。直接的すぎる表現は避けながらも、状況を適切に伝えましょう。
病気療養なしの場合
本日はお忙しいところ、【故人】の葬儀・告別式にご会葬いただき、誠にありがとうございました。
【故人】は一昨日の夜、突然体調を崩し、○時○分に息を引き取りました。享年○歳でございました。
あまりに突然のことで、私どもも驚きと悲しみの中におります。
最近まで元気に○○をしており、皆様ともお会いする機会があったかと存じます。まだまだ長生きしてほしかったという思いはありますが、苦しまずに旅立ったことが、わずかな慰めでございます。
生前中は皆様に大変お世話になり、心より感謝申し上げます。
🔹 突然死の場合に使うべき表現:
| 適切な表現 | 避けるべき表現 | 理由 |
|---|---|---|
| 突然体調を崩し | 急死した | 直接的すぎる |
| 息を引き取りました | 死亡しました | 婉曲的な表現を使う |
| 旅立ちました | 亡くなりました | より穏やかな印象 |
| 苦しまずに | 急に倒れて | ネガティブな印象を避ける |
事故の場合
【故人】は○日の朝、交通事故により突然この世を去りました。享年○歳でございました。
あまりに突然の出来事で、いまだに信じられない思いでおります。
事故の詳細な説明は避け、簡潔で品のある表現にとどめましょう。
高齢での大往生の場合の挨拶
高齢で自然に亡くなった場合は、長寿への感謝と穏やかな最期への安らぎを表現できます。
「大往生」の使い方の注意点:「大往生」とは苦しまず安らかに死を迎えることを意味します。これは遺族自身が使う言葉であり、参列者が遺族に「大往生でしたね」と言うのは失礼にあたります。遺族は「もっと長生きしてほしかった」と思っているため、他人がその判断をすることは避けるべきです。
本日はお忙しいところ、【故人】の葬儀・告別式にご会葬いただき、誠にありがとうございました。
【故人】は○月○日、○歳の高齢で息を引き取りました。
最期まで食欲もあり、私どもとの会話も楽しみ、穏やかな日々を過ごしておりました。○日前から体調を崩しましたが、苦しむことなく眠るように旅立ちました。
これだけの長寿を保てましたのも、皆様方のお心遣いのおかげと深く感謝しております。【故人】も、皆様に見送られて幸せだったと存じます。
長男・長女として挨拶する場合の自己紹介と例文
喪主が故人の長男や長女の場合は、冒頭に自己紹介と「遺族代表」としての立場を述べるのが一般的です。
🔹 自己紹介の入れ方:
【故人】の長男の○○でございます。遺族を代表してご挨拶申し上げます。
本日はお忙しいところ、父(母)【故人】の葬儀・告別式にご会葬いただき、誠にありがとうございました。
(以降は通常の例文と同様に続ける)
🔹 締めの言葉の例:
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願いいたします。
配偶者が喪主の場合は「【故人】の妻(夫)の○○でございます」と名乗りますが、参列者が故人の家族関係を把握している場合は省略しても構いません。
簡単・短い喪主挨拶の例文(1分以内)
体力的に不安がある場合や、短い挨拶で済ませたい場合の例文です。
1分版
皆様、本日はお忙しいところ、○○のためにお越しいただき、まことにありがとうございました。
○○は○月○日、○歳で息を引き取りました。皆様に愛されて幸せな人生でした。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。
30秒版(体調が心配な場合)
皆様、本日はありがとうございました。○○も皆様に見送られて幸せです。今後ともよろしくお願いいたします。
短い挨拶であっても、参列のお礼と故人への言及が含まれていれば十分に気持ちは伝わります。
喪主代行・代理挨拶の例文と方法

喪主が挨拶できない状況では、代理人が適切に対応する必要があります。参列者に不信感を与えないよう、理由を簡潔に説明しましょう。
代理挨拶が必要な状況と適切な説明の仕方
代理挨拶が必要になる主な状況:
- 精神的ショックで言葉を発することが困難
- 高齢や病気による体調不良
- 遠方居住で到着が間に合わない
代理人は挨拶の冒頭で、なぜ自分が代わりに挨拶しているのかを簡潔に説明します。
| 状況 | 説明例 |
|---|---|
| 体調不良 | 看病の疲れがたまり体調を崩し、起き上がれないため |
| 精神的ショック | あまりのショックで言葉を発することができないため |
| 遠方居住 | 遠方におり到着が間に合わないため |
| 高齢 | 高齢のため体力的に困難なため |
代理挨拶の例文と注意点
本来なら喪主の○○が挨拶申し上げるところでございますが、悲しみのあまり体調を崩しており、故人の長男である私が代わってご挨拶申し上げます。
本日はお忙しいところ、【故人】の葬儀・告別式にご会葬いただき、誠にありがとうございました。
【故人】は○日○時○分、○歳で息を引き取りました。
(故人のエピソードや感謝の言葉を続ける)
喪主の○○も、皆様への感謝の気持ちでいっぱいでございます。代わりまして厚く御礼申し上げます。
🔹 代理挨拶の注意点:
- 謙虚な態度を保ち、自分の意見を前面に出さない
- 忌み言葉を使わないよう注意する
- 喪主の言葉と自分の言葉を明確に区別する
- 挨拶文は事前に書面で用意し、見ながら話しても問題ない
高齢喪主への配慮とサポート体制
高齢の方が喪主を務める場合は、体力面での特別な配慮が必要です。
🔹 体力負担を軽減する工夫:
- 椅子に座っての挨拶を検討する(「高齢のため座らせていただきます」と事前に説明)
- 挨拶時間を1分以内に短縮する
- サポート役の家族を近くに配置する
- 代読者を事前に決定しておく(急な体調変化に対応)
受付で「喪主の○○は高齢のため、簡単な挨拶とさせていただきます。ご理解のほどよろしくお願いいたします」と事前に伝えておくと、参列者の理解が得られます。
葬儀挨拶で避けるべき禁句・忌み言葉一覧

葬儀で使ってはいけないとされる言葉を**「忌み言葉」**と呼びます。喪主として参列者への気配りとして、これらの言葉を避けて適切な表現に言い換えることが大切です。
重ね言葉の言い換え表
**重ね言葉は「不幸も重なる」**という連想から避けるべきとされています。
| 避けるべき重ね言葉 | 適切な言い換え |
|---|---|
| 重ね重ね | 誠に・本当に・心から |
| たびたび | よく・幾度も |
| またまた | さらに・加えて |
| ますます | より一層・さらに |
| いよいよ | ついに・とうとう |
| くれぐれも | どうか・ぜひとも |
| 返す返すも | つくづく・本当に |
🔹 使用例:
- ❌「重ね重ね残念です」→ ⭕「誠に残念です」
- ❌「たびたびお世話になりました」→ ⭕「よくお世話になりました」
不幸の継続を連想させる表現と言い換え
不幸が繰り返されることを連想させる言葉も避けます。
| 避けるべき表現 | 適切な言い換え |
|---|---|
| 再び | あらためて |
| 続く | そのまま |
| 引き続き | そのまま・なお |
| 次に | そして・また新たに |
| 何度も | よく・幾度も |
| 繰り返す | (文を言い換えて回避) |
🔹 使用例:
- ❌「入退院を繰り返しており」→ ⭕「入退院の月日を過ごしており」
また、浮かばれない(故人の冥福を妨げる印象)や迷う(故人が成仏できない印象)といった仏教的な意味で不適切な表現も避けましょう。
直接的な生死表現の言い換え
直接的に死を表現する言葉は、婉曲的な表現に言い換えるのが望ましいです。
| 避けるべき表現 | 適切な言い換え |
|---|---|
| 死亡・死去 | ご逝去・ご他界・お永眠・お亡くなりになる |
| 急死 | 突然お亡くなりになる |
| 生きる | ご存命・ご健在 |
宗教・宗派別の禁句と適切な表現(仏教・神道・キリスト教)
故人の宗教・宗派に合わせた表現を使うことが重要です。間違った宗教用語の使用は失礼にあたります。
仏教
🔹 使える表現:成仏・供養・合掌・冥福・極楽浄土・大往生
- 「ご冥福をお祈りいたします」
- 「安らかにお眠りください」
❌ 避ける表現:天国・空の上から見守って(キリスト教的表現)
「大往生」の正しい使い方:苦しまず安らかに死を迎えることを意味し、遺族が使う言葉です。参列者が遺族に「大往生でしたね」と言うのは失礼にあたります。
神道
🔹 使える表現:
- 「御霊のご平安をお祈りいたします」
- 「謹んでお悔やみ申し上げます」
❌ 避ける表現:冥福・成仏・供養(仏教用語)、天国(キリスト教用語)
神道では、故人の魂は家の守護神になるという考え方に基づきます。
キリスト教
🔹 使える表現:
- 「天国から見守ってください」
- 「永遠の安息をお祈りいたします」
❌ 避ける表現:ご冥福・成仏・供養(仏教用語)、御霊(神道用語)
宗教・宗派が不明な場合
どの宗教でも使える汎用的な表現を選ぶか、葬儀社のスタッフに確認することをおすすめします。「お悔やみ申し上げます」「安らかにお眠りください」はどの宗教でも使用できる表現です。
挨拶中に感情が高ぶった時・言葉に詰まった時の対処法

故人との思い出に触れる際に感情が高ぶることは自然なことです。葬儀で涙を流すことは故人への深い愛情の表れであり、参列者も理解してくれます。
涙が出た時・声が詰まった時の立て直し方
🔹 涙が出た場合の対処:
- 一時停止する勇気を持つ(無理に続けようとしない)
- 深呼吸をして心を落ち着ける
- ハンカチで涙を拭く(自然な動作で問題ない)
- 「申し訳ございません」と一言断ってから続ける
🔹 緊張で言葉を忘れた場合の対処:
| 状況 | 対処法 |
|---|---|
| 感情で詰まった | 深呼吸 →「故人への思いが…」と前置きして再開 |
| 緊張で忘れた | カンペを確認 →「改めまして」と自然な流れで再開 |
| 体調不良 | 水を一口飲む →「失礼いたします」 |
途中で続けられなくなった場合の選択肢
どうしても続けられない場合は、以下の選択肢があります。
🔹 続行困難な場合の3つの選択肢:
- 近親者に代読を依頼:「申し訳ございません。私に代わりまして、○○がご挨拶申し上げます」
- 短縮版で終了:「ありがとうございました」の一言で締めても問題ありません
- 一度下がって再開:少し時間を置いてから再び挨拶する
事前に**「途中で続けられなくなった場合に代わりに読む人」を決めておく**と安心です。カンペをその方にも渡しておけば、スムーズに引き継げます。
まとめ

喪主挨拶でカンペを見ながら話すことはマナー違反ではありません。大切なのは挨拶を暗記することではなく、故人への感謝と参列者への謝意を確実に伝えることです。
カンペは紙に14ポイント以上の大きな文字で書き、厚手の用紙に印刷しておくのがおすすめです。挨拶文は「感謝→故人の報告→エピソード→感謝・締め」の基本構成で作り、**1〜3分(300〜900文字)**を目安にまとめましょう。
感情が高ぶって言葉に詰まることがあっても、それは故人への深い思いの表れです。完璧を求めず、自分の言葉で気持ちを伝えることを心がけてください。
よくある質問(FAQ)
- 喪主挨拶でカンペを読み上げるのは失礼ではないですか?
-
失礼ではありません。葬儀社も「カンペの準備をおすすめする」と助言するほど一般的です。ただしスマホではなく紙に書いたものを使いましょう。
- 喪主挨拶は何分くらいが適切ですか?
-
通夜終了時や出棺時は2〜3分、通夜ぶるまいや精進落としの開始・終了時は1〜1分30秒が目安です。1分あたり約300文字を基準に原稿を準備してください。
- 喪主以外の人が代わりに挨拶してもよいですか?
-
問題ありません。体調不良や精神的ショックで挨拶が困難な場合は、長男・長女などの近親者が代理で挨拶できます。冒頭で代理の理由を簡潔に説明しましょう。
- 宗教・宗派がわからない場合の挨拶はどうすればよいですか?
-
「お悔やみ申し上げます」「安らかにお眠りください」はどの宗教でも使える表現です。不安な場合は葬儀社のスタッフに確認してください。
- 家族葬でも喪主挨拶は必要ですか?
-
必須ではありませんが、少人数でも感謝の気持ちを伝える挨拶をするのが一般的です。堅苦しい形式にこだわらず、自然な言葉で構いません。

