「墓じまいって一体いくらかかるの?」と調べても、 30万円から150万円 まで価格がバラバラで、何が適正なのか分からず不安になっていませんか?「高額な離檀料を請求されたら」「格安業者で追加料金を取られないか」と心配は尽きません。
墓じまい市場は情報が整理されておらず、お墓の規模や立地条件、改葬先の選択で費用が大きく変動します。業者ごとにサービス内容も異なり、見積もり比較も困難な状況です。
この記事では、 鎌倉新書の2024年調査データ や 厚生労働省の統計 、最新市場調査を基に、 費用の総額と内訳 、 規模別シミュレーション 、 主要代行業者の料金比較 、 離檀料トラブルの対処法 を解説しています。
この記事を読むことで 墓じまいの適正価格 が分かり、 信頼できる業者の選び方 が身につきます。トラブル対処法を知ることで、不安を抱えたまま依頼して後悔するリスクを避けられます。
墓じまいの費用は 平均50~130万円 ですが、複数業者の見積もり比較や改葬先の選択次第で 大幅に節約可能 です。離檀料も法的根拠がないため交渉でき、無駄な出費を防げます。

墓じまい費用の総額と内訳|平均50~130万円の実態
墓じまいの費用総額 は、平均的に 50~130万円程度 かかります。この金額は、お墓の規模や立地条件、改葬先の選択によって大きく変動します。
費用の実態データ(2023年調査)
鎌倉新書が2024年に実施した「第3回改葬・墓じまいに関する実態調査」によると、実際に墓じまいを行った人の費用は以下のように分布しています。
| 費用帯 | 割合 |
|---|---|
| 30万円以下 | 16.0% |
| 31~70万円 | 24.2%(最多) |
| 71~110万円 | 19.5% |
| 111~150万円 | 14.5% |
| 151万円以上 | 15.2% |
最も多い価格帯は 31~70万円 で、全体の約4分の1を占めています。一方で、151万円以上かかったケースも15.2%あり、改葬先の選択次第で費用が大きく変わることがわかります。
また、厚生労働省の統計では、令和5年度(2023年)の 改葬件数は166,886件 に達し、過去最多を記録しました。平成14年度(2002年)の約2.3倍に増加しており、墓じまいは年々増加傾向にあります。
費用の内訳
墓じまいの費用は、大きく分けて以下の3つで構成されています。
| 費用項目 | 相場 |
|---|---|
| お墓の撤去・処分費用 | 20万円~50万円 |
| 行政手続き費用 | 数百円~数千円 |
| 改葬先の費用 | 5万円~100万円超 |
お墓の撤去・処分費用 が基本的な費用の中核を占めます。墓石の解体・撤去、遺骨の取り出し、閉眼供養のお布施、寺院墓地の場合は離檀料などが含まれます。
行政手続き費用 は比較的少額ですが、改葬許可証の取得に必要な各種証明書の発行手数料がかかります。代行を依頼する場合は別途3万円~7万円程度の費用が発生します。
改葬先の費用 は選択肢によって最も変動幅が大きい部分です。合祀タイプの永代供養墓なら10万円前後から可能ですが、新たに墓石を建立する場合は100万円以上かかります。
お墓の規模別・費用シミュレーション
墓じまいの費用は お墓の広さ(㎡数) によって大きく変わります。以下は代表的な規模別の費用シミュレーションです。
🔹 1㎡のお墓の場合
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 墓石撤去・処分 | 10~15万円 |
| 閉眼供養のお布施 | 3~10万円 |
| 離檀料(寺院墓地の場合) | 3~20万円 |
| 行政手続き | 1,000~3,000円 |
| 改葬先(合祀永代供養) | 10~20万円 |
| 合計 | 約26~65万円 |
🔹 2㎡のお墓の場合
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 墓石撤去・処分 | 20~30万円 |
| 閉眼供養のお布施 | 3~10万円 |
| 離檀料(寺院墓地の場合) | 3~20万円 |
| 行政手続き | 1,000~3,000円 |
| 改葬先(納骨堂) | 20~50万円 |
| 合計 | 約46~110万円 |
🔹 3㎡以上の大型墓の場合
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 墓石撤去・処分 | 30~45万円 |
| 閉眼供養のお布施 | 3~10万円 |
| 離檀料(寺院墓地の場合) | 3~20万円 |
| 行政手続き | 1,000~3,000円 |
| 改葬先(個別永代供養) | 30~100万円 |
| 合計 | 約66~175万円 |
これらはあくまで目安です。墓地の立地条件(山間部、アクセスの悪い場所など)や、改葬先の選択(樹木葬、散骨、手元供養など)によって、総額は大きく変動します。
墓石撤去・処分にかかる費用|1㎡あたり10~15万円が相場
墓石の撤去・処分費用 は墓じまいの中で最も大きな割合を占める費用です。2024年~2025年の市場調査によると、 1㎡あたり10~15万円 が標準的な相場となっています。
墓石撤去費用の相場
墓石撤去の費用は、主に以下の要素で構成されています。
| 費用項目 | 相場 |
|---|---|
| 墓石の解体・撤去(1㎡あたり) | 10~15万円 |
| 墓石の処分費(1トンあたり) | 3,000~5,000円 |
| 墓地の整地費用 | 撤去費用に含まれる場合が多い |
| 遺骨の取り出し費用(1柱あたり) | 3~5万円 |
例えば、2㎡のお墓の場合、墓石撤去だけで 20~30万円 程度かかる計算になります。これに遺骨の取り出しや整地費用が加わります。
墓石の撤去作業には、石材の解体、運搬、処分、そして墓地を更地に戻す整地作業が含まれます。墓石は非常に重く、専門の重機や技術が必要なため、個人で行うことは困難です。
費用が高くなるケース
墓石撤去の費用は、お墓の立地条件によって大きく変動します。
💰 費用が高額になる主な要因:
- 山間部や斜面にあるお墓:重機の搬入が難しく、すべて手作業になるため20~50万円以上に跳ね上がることがある
- アクセスの悪い場所:駐車場から墓地までの距離が遠い、階段が多いなどの条件で作業効率が落ちる
- 大型で複雑なデザインの墓石:パーツが多い、高さがある、特殊な形状の墓石は解体に時間がかかる
- 地盤が固い・岩盤がある:墓石の基礎部分の撤去が困難な場合
逆に、 平坦地でアクセスが良い都市部の公営墓地 では、重機を使った効率的な作業が可能なため、相場より安くなる傾向があります。
見積もりを取る際は、必ず現地調査を依頼し、立地条件を考慮した正確な金額を確認しましょう。
閉眼供養と離檀料
墓石を撤去する前には、 閉眼供養(魂抜き) を行うのが一般的です。また、寺院墓地の場合は 離檀料 が発生します。
🙏 閉眼供養(魂抜き)
墓石から魂を抜く儀式で、僧侶に依頼して行います。地域によっては「魂抜き」「お性根抜き」と呼ばれることもあります。
- お布施の相場:3~10万円
- 依頼先:菩提寺の僧侶、または僧侶派遣サービス
- 所要時間:30分~1時間程度
閉眼供養は法的義務ではありませんが、多くの方が故人への敬意として行っています。
💴 離檀料
寺院墓地から改葬する場合、檀家を離れる際に 離檀料 (お礼のお布施)を支払うのが慣習です。
- 一般的な相場:3~30万円
- 最も多い価格帯:3~5万円(感謝の気持ちの表現程度)
- 高額なケース:格式高い寺院や長期の檀家関係の場合は10~20万円
離檀料には法的根拠がなく、支払い義務はありません。しかし、トラブルを避けるため、事前に住職と相談し、双方が納得できる金額で合意することが重要です。
⚠️ 注意点: まれに200~700万円といった法外な離檀料を請求されるケースがあります。このような場合は弁護士や宗派の本山に相談することで、妥当な金額(多くの場合30万円程度)に落ち着くことが多いです。
改葬手続きにかかる費用
墓じまいを行うには、法律で定められた 改葬許可 の手続きが必要です。手続きそのものの費用は比較的少額ですが、自分で行うか代行を依頼するかで費用が変わります。
行政手続きの費用
改葬に必要な行政手続きの費用は以下の通りです。
| 手続き項目 | 費用 |
|---|---|
| 埋葬(埋蔵・収蔵)証明書の発行 | 数百円 |
| 改葬許可申請の手数料 | 500~1,500円程度 |
| 受入証明書の発行 | 数百円 |
| 合計 | 1,000~3,000円程度 |
これらの書類は、現在のお墓がある墓地の管理者と、新しい納骨先の管理者、そして市区町村役場で取得します。
📋 必要な書類の流れ:
- 現在の墓地管理者から「埋葬証明書」を取得
- 新しい納骨先から「受入証明書」を取得
- 市区町村役場に「改葬許可申請書」を提出
- 市区町村役場から「改葬許可証」を交付してもらう
手続き自体は複雑ですが、費用面では非常に低コストです。時間に余裕があり、役所や墓地管理者とのやり取りを自分で行える方は、自分で手続きすることで代行費用を節約できます。
手続きの代行を依頼する場合
行政手続きを 行政書士 や 墓じまい代行業者 に依頼する場合、別途代行費用が発生します。
| 代行先 | 費用相場 |
|---|---|
| 行政書士 | 3~7万円 |
| 墓じまい代行業者 | セットプランに含まれることが多い |
多くの墓じまい代行業者は、行政手続きの代行をサービスに含めており、追加料金なしで対応してくれる場合があります。見積もりを取る際に、行政手続きの代行が含まれているか確認しましょう。
⚠️ 注意点: 自治体によっては、代行による改葬許可申請を認めていない場合があります。事前に市区町村役場に確認することをおすすめします。
遠方にお墓がある場合や、仕事で時間が取れない場合は、代行サービスを利用することで手続きの負担を大幅に軽減できます。
改葬先にかかる費用|5万円~100万円超

墓じまい後の 遺骨の納め先 によって、費用は大きく変動します。2024年~2025年現在、従来の墓石型のお墓だけでなく、多様な供養方法が選ばれています。
永代供養墓
永代供養墓 は、遺族に代わって寺院や霊園が永続的に供養と管理を行うお墓です。継承者がいなくても契約でき、墓じまい後の改葬先として最も選ばれている方法の一つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用相場 | 10~100万円 |
| 合祀タイプ | 10~20万円(他の遺骨と一緒に埋葬) |
| 個別タイプ | 30~100万円(一定期間個別に安置) |
💡 メリット:
- 継承者がいなくても契約可能
- 料金支払い後の管理費が不要
- 寺院や霊園が永続的に供養
⚠️ デメリット:
- 合祀タイプは後から遺骨を取り出せない
- 個別の墓石としての存在感は少ない
永代供養墓は、子供や孫に負担をかけたくない方に人気の選択肢です。
納骨堂
納骨堂 は屋内にあるお墓の総称です。自動搬送式、仏壇型、ロッカー型など、形式は様々です。都市部を中心に需要が高まっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用相場 | 10~100万円 |
| ロッカー型 | 10~30万円 |
| 仏壇型 | 50~100万円 |
| 自動搬送式 | 50~100万円 |
💡 メリット:
- 天候に左右されず参拝できる
- 墓の清掃や管理が楽
- 24時間アクセス可能な施設もある
⚠️ デメリット:
- 施設によっては参拝方法に制限がある
- 高級施設では費用が高額になる
納骨堂は、都市部に住んでいて定期的に参拝したい方に適しています。
樹木葬
樹木葬 は樹木をシンボルとした自然志向の埋葬方法です。墓石を必要とせず、自然に還るという考え方に共感する人に人気があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用相場 | 10~100万円 |
| 合祀タイプ | 10~30万円 |
| 個別タイプ | 30~80万円 |
💡 メリット:
- 自然に還れる
- 墓石が不要で費用を抑えられる
- 環境に優しい
⚠️ デメリット:
- 場所によっては参拝方法に制限がある
- 地域によって選択肢が限られる
樹木葬は、環境意識が高く、自然の中で眠りたいと考える方に選ばれています。
散骨
散骨 は遺骨を粉末状にして自然に還す方法です。海洋散骨が一般的ですが、山や森など様々な場所で行うことができます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用相場 | 2.5~30万円 |
| 海洋散骨(合同プラン) | 2.5~10万円 |
| 海洋散骨(個別プラン) | 10~30万円 |
💡 メリット:
- 完全に自然に還れる
- 墓の管理が不要
- 費用が比較的安価
⚠️ デメリット:
- 散骨後は参拝の場所がない
- 一部の人には心理的抵抗感がある
- 遺骨を分ける場合は分骨手続きが必要
散骨は、墓の管理から完全に解放されたい方や、費用を最小限に抑えたい方に適しています。
手元供養
手元供養 は遺骨を自宅に保管したまま供養する方法です。ミニ骨壷やアクセサリーなどに加工して身につける方法も人気があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用相場 | 数万円~ |
| ミニ骨壷 | 1~5万円 |
| アクセサリー加工 | 3~10万円 |
💡 メリット:
- いつでも故人を身近に感じられる
- 形式にとらわれない
- 他の供養方法と併用可能
⚠️ デメリット:
- 遺族が亡くなった後の扱いが問題になる
- 法的には埋葬とは認められていない
手元供養は、故人といつも一緒にいたいと感じる方や、一部の遺骨だけを手元に残したい方に選ばれています。
💡 複数の方法を組み合わせる選択も増加
遺骨を分骨して、一部は永代供養墓に、一部は手元供養にするなど、複数の方法を組み合わせるケースが増えています。家族それぞれの希望を尊重しながら、柔軟に選択することが可能です。
墓じまい代行業者の料金比較
墓じまいは専門知識と複雑な手続きが必要なため、多くの人が 代行業者 に依頼しています。特に遠方にあるお墓や、親族間での調整が難しい場合は、プロの力を借りることで負担を大幅に軽減できます。
主要代行業者の料金一覧
2025年時点での主要な墓じまい代行業者の料金比較です。費用は基本的に お墓の広さ(㎡) によって変動します。
| 業者名 | 料金目安(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| ミキワ | 18.15万円/1㎡~ 21.45万円/1~2㎡~ 25.85万円/2~3㎡~ | 全国対応、専属スタッフが一貫対応、後払い方式、顧客満足度96.2% |
| イオンのお葬式 | 19.8万円/~2㎡~ 21.8万円/2~3㎡~ 25.8万円/3~4㎡~ | 大手の安心感、明確な価格設定、まごころ価格ドットコムと協同 |
| お墓のお引越しくん | 15.9万円/0~2㎡~ 25.3万円/2~3㎡~ 28.6万円/3~4㎡~ | 墓じまいから供養までワンストップ対応、見積もり内訳開示 |
| メモリアルアートの大野屋 | 相場より高め(個別見積もり) | 全国約1,000社の石材業者ネットワーク、改葬実績約8,000件、リメイクデザイン墓石サービス |
📌 料金に含まれる基本サービス:
- 墓石の解体・撤去・処分
- 遺骨の取り出し
- 墓地の整地(更地に戻す)
- 行政手続きの代行またはサポート
- お骨の受け渡し
💰 追加費用が発生する可能性があるケース:
- 閉眼供養の僧侶手配(3.8~10万円程度)
- 改葬先の手配(永代供養墓、散骨など)
- 山間部や斜面など立地条件が悪い場合
- 遺骨の洗浄や新しい骨壷への移し替え
見積もりを取る際は、必ず 追加料金が発生する条件 を明確に確認しましょう。
代行業者の選び方
信頼できる代行業者を選ぶためのポイントを紹介します。
✅ 複数の業者から見積もりを取る
同じ条件でも業者によって20万円以上の差が出ることがあります。最低でも3社から見積もりを取り、費用感と対応の丁寧さを比較しましょう。
✅ 料金の内訳を明確に確認する
「一式」などのあいまいな表記ではなく、作業や手続きごとの費用が明示されているか確認してください。内訳が不明瞭な業者は避けるべきです。
✅ 実績や口コミをチェックする
会社の設立年数、墓じまい実績件数、他の利用者の評価を調べることで安心感が得られます。Googleの口コミや比較サイトのレビューを参考にしましょう。
✅ 対応エリアを確認する
全国対応でも地域によって費用が異なる場合があります。お墓のある地域が対応エリア内か、追加料金が発生しないか確認が必要です。
✅ 提供サービス内容を比較する
行政手続き代行、閉眼供養の手配、改葬先の紹介など、必要なサービスがすべて含まれているか確認しましょう。
✅ アフターフォローの充実度を確認する
墓じまい完了後の証明書発行、作業完了写真の提供など、作業完了後のサポート体制も重要なポイントです。
格安業者の注意点
「 格安 」「 激安 」をうたう墓じまい業者も増えていますが、思わぬトラブルに発展するケースがあります。
⚠️ 格安業者で注意すべき点:
- 基本料金の範囲が限定的:見積もりに含まれる作業が最低限で、実際には多くの追加料金が発生する
- 追加料金の発生条件が不明瞭:「墓石が想定より大きい」「アクセスが悪い」などの理由で後から請求される
- 実績や口コミがほとんどない:新規参入業者で実績が乏しく、サービス品質に不安がある
- アフターフォローが乏しい:墓じまい完了後のトラブル対応や証明書発行などのサポートがない
業界の相場は 1㎡あたり10~18万円程度 です。これを大幅に下回る料金設定には何らかの理由があることが多いため、慎重に検討しましょう。
一見安く見える料金でも、実際には相場並みかそれ以上になるケースも少なくありません。価格だけでなく、丁寧な対応、実績、アフターフォローなども重視して業者を選びましょう。
墓じまいの費用を抑える方法
墓じまいは総額で50~130万円程度かかりますが、適切な方法を選ぶことで費用を抑えることが可能です。
複数業者から見積もりを取る
墓じまいの費用は業者によって大きく異なります 。同じ条件でも業者によって20万円以上の差が出ることも珍しくありません。
💰 複数見積もりのメリット:
- 適正価格の把握ができる
- 業者間の競争で値引きの可能性がある
- サービス内容の比較ができる
見積書をもらう際は 必ず内訳を詳細に確認し 、追加料金が発生する条件も明確にしてもらいましょう。オンラインの一括見積もりサービスを活用すれば、効率よく複数の見積もりを取ることができます。
📋 見積もり確認のチェックポイント:
- 墓石撤去の㎡単価は妥当か
- 遺骨の取り出し費用は含まれているか
- 行政手続きの代行は含まれているか
- 追加料金が発生する条件は何か
- 閉眼供養や離檀料は別途必要か
自治体の補助金制度を確認する
一部の自治体では墓じまいに対する補助金制度 を設けています。ただし、2025年時点で補助金を実施しているのは 全国でわずか9自治体 に限定されています。
🏛️ 補助金実施自治体:
- 北海道苫小牧市(苫小牧市営高丘霊園・高丘第二霊園)
- 群馬県太田市(八王子山公園墓地)
- 茨城県水戸市(水戸市公園墓地)
- 千葉県市川市(市川市霊園)
- 千葉県浦安市(浦安市墓地公園)
- 東京都(都立霊園8園) ※施設変更制度により無料
- 大阪府岸和田市(岸和田市墓苑)
- 大阪府泉大津市(泉大津市営墓地・組合墓地)
- 岡山県玉野市(玉野市霊園)
補助金の内容:
- 原状回復費用の一部または全部を補助
- 限度額は自治体による(10~20万円程度が一般的)
- 工事完了後に領収書を提出して申請
🌟 東京都の特例: 東京都立霊園では「施設変更制度」により、一般埋蔵施設から他の施設に改葬する場合、原状回復費用が 無料 になります。
お住まいの市区町村役場の生活環境課や墓地管理部門に問い合わせて、補助金制度の有無や申請条件を確認しましょう。申請期限がある場合も多いので、 早めに情報収集することが重要 です。
⚠️ 注意点: ほとんどの地域では補助金制度がありません。補助金を期待せず、自費での準備を前提に計画を立てましょう。
必要なサービスだけを選ぶ
代行業者の中には、 オプションサービスを含めた総合パッケージ を提案することがあります。すべてのサービスが必要とは限らないため、自分で対応できる部分は代行を依頼せず費用を抑えましょう。
🔧 選択可能なサービスの例:
- 行政手続きの代行:自分で行えば3~7万円の代行費用が不要
- 閉眼供養:必須と考える方も多いが、簡素化や省略も可能
- 遺骨の洗浄:新しい骨壷への移し替えは必須ではない
特に 行政手続きは時間はかかりますが自分で行うことも可能 で、数万円の費用を節約できます。代行業者に依頼する前に、どの部分は自分で対応できるか検討してみましょう。
改葬先の選択で費用を調整する
改葬先の選択は墓じまいの総費用に大きく影響 します。新しい墓石を建てる場合は100万円以上かかりますが、他の選択肢ならずっと安く済ませることができます。
💰 費用を抑えられる改葬先の選択肢:
- 合祀(合葬)タイプの永代供養墓:10~20万円
- 散骨:2.5~10万円(合同プラン)
- 手元供養:数万円~
特に 合祀タイプの永代供養墓 は、個別タイプと比べて大幅に費用を抑えられます。また、遺骨を分骨して一部を手元供養し、残りを散骨や合祀するという方法も、費用負担を軽減する選択肢のひとつです。
ただし、費用面だけでなく、家族の希望や宗教観、将来の参拝のしやすさなども考慮して改葬先を選ぶことが大切です。
墓じまいの手続きの流れ
墓じまいは、単に墓石を撤去するだけでなく、様々な手続きが必要な複雑なプロセスです。全体の流れを把握しておくことで、スムーズに進めることができます。
事前準備と確認事項
墓じまいを始める前に、いくつかの重要な確認と準備が必要です。これらの準備を怠ると、後々トラブルになる可能性があります。
✅ 親族への相談・了承
墓じまいは家族全体に関わる問題です。特に先祖代々のお墓の場合、親族間でいざこざが起きないよう、事前に十分な説明と話し合いを行いましょう。
墓じまいを決めた理由、改葬先の選択肢、費用の負担方法などを明確にし、できるだけ多くの親族の理解を得ることが大切です。
✅ 菩提寺や霊園への相談
現在のお墓が寺院墓地にある場合は、 離檀 (寺院の檀家から離れること)について相談する必要があります。離檀料の金額や手続きについても確認しておきましょう。
公営墓地や民間霊園の場合は、墓地の管理事務所に墓じまいの意向を伝え、必要な手続きを確認します。
✅ 改葬先の検討・決定
遺骨の新しい安置場所(納骨堂、樹木葬、永代供養墓など)を事前に決めておく必要があります。改葬先が決まっていないと、行政手続きが進められません。
改葬先を決める際は、複数の施設を見学し、費用、立地、サービス内容を比較検討しましょう。
改葬許可の取得手順
墓じまいを行うためには、 改葬許可証 の取得が法律上必要です。この手続きは墓地埋葬法に基づいており、書類の準備や申請の流れを理解しておくことが重要です。
📋 改葬許可の取得手順:
1. 埋葬証明書の取得
現在のお墓がある墓地の管理者(寺院や霊園)から「埋葬(埋蔵・収蔵)証明書」を発行してもらいます。この証明書は、そのお墓に誰の遺骨が納められているかを証明するものです。
2. 受入証明書の取得
新しい納骨先の管理者から「受入証明書」を発行してもらいます。この証明書は、改葬先が遺骨を受け入れることを証明するものです。
3. 改葬許可申請書の提出
「埋葬証明書」と「受入証明書」を添えて、現在のお墓がある市区町村役場に「改葬許可申請書」を提出します。
4. 改葬許可証の交付
市区町村役場で審査が行われ、問題がなければ「改葬許可証」が交付されます。この許可証がないと、合法的に遺骨を移動させることができません。
これらの行政手続きは複雑で時間がかかることがありますが、 墓じまい代行業者 に依頼すれば、書類の準備から申請まで代行してもらえる場合が多いです。ただし、自治体によっては代行が認められないケースもあるため、事前に確認が必要です。
墓石撤去と納骨の実施
行政手続きが完了したら、実際のお墓の撤去作業と遺骨の移動を行います。この段階では石材店や専門業者の協力が必要です。
🔨 墓石撤去と納骨の流れ:
1. 閉眼供養(魂抜き)
墓石を解体する前に、僧侶に依頼して 閉眼供養 (お墓から魂を抜く儀式)を行います。地域によっては「魂抜き」と呼ばれることもあります。お布施として3~10万円程度が相場です。
2. 遺骨の取り出し
墓石を一部解体し、埋葬されている遺骨を取り出します。古いお墓の場合、遺骨の状態が悪いことも多いため、専門家の手で丁寧に取り出してもらいましょう。
3. 墓石の解体・撤去
墓石や外柵を解体し、処分します。墓石の大きさや場所の条件によって作業の難易度と費用が変わります。
4. 墓地の整地
墓石を撤去した後、その場所を更地の状態に戻します。これは墓地を管理者に返還するために必要な作業です。
5. 改葬先での納骨・供養
取り出した遺骨を新しい納骨先に移し、 開眼供養 (新しい納骨先での供養)を行います。
墓じまいの一連の作業は専門知識と労力を要するため、一般の方が自分で行うのは困難です。特に遺骨の取り出しや墓石の解体は危険を伴うため、 石材店や墓じまい代行業者 に依頼するのが安全で確実です。
墓じまいでよくあるトラブルと対処法
墓じまいは決して頻繁に行うものではないため、知識不足からトラブルに発展するケースが少なくありません。よくあるトラブルとその対処法を理解しておくことが重要です。
高額な離檀料を請求された場合
寺院墓地から改葬する場合、 檀家を離れる ことになります。このとき「 離檀料 」(離檀のお布施)を請求されるケースが多いですが、まれに法外な金額を要求されることがあります。
⚠️ トラブル事例:
- 300万円、450万円、700万円といった高額請求
- 「今までお世話になった分」として法外な金額を要求される
- 支払わないと埋葬証明書の発行を拒否される
💡 対処法:
離檀料には法的根拠がなく、あくまで「お礼のお布施」という位置づけです。支払い義務はありません。
対処の手順:
- まずは冷静に話し合い、妥当な金額(3~30万円程度)での合意を目指す
- 話し合いで解決しない場合は、宗派の本山に相談する
- 弁護士に相談し、第三者を介入させる
- 弁護士介入により、多くの場合30万円程度で合意に至る
2024~2025年の傾向として、各宗派の本山が高額離檀料を求めないよう指導を強化しており、トラブル解決に至るスピードが向上しています。
埋葬証明書の発行を拒否された場合
離檀料の未払いを理由に、住職が「埋葬証明書」や「埋蔵証明書」の発行を拒否するケースがあります。
💡 対処法:
手順1:役所に事情を説明する
改葬許可証申請時に市区町村役場に事情を話すと、新納骨先の受入許可証のみで改葬許可証を発行できる場合があります。
手順2:「お墓放棄宣言」を検討する
最終手段として、お墓を放棄する意向を寺院に伝えることで、寺院側が最も困る状況(管理費が入らない、解体費用が寺院負担など)を示唆し、交渉を優位に進めることができます。
手順3:弁護士や行政に相談する
弁護士に相談し、法的手段を検討します。また、市区町村役場の墓地管理部門に相談することで、解決策を提示してもらえる場合があります。
墓石業者の指定を強制された場合
寺院と提携している特定石材店のみの使用を強要され、高額な撤去費用を請求されるケースがあります。自分で依頼した業者の侵入を拒否される場合もあります。
💡 対処法:
事前に確認する:
墓じまいを決める前に、菩提寺に相談し、業者の選択が可能かどうか確認しましょう。
複数業者の検討を承認させる:
寺院に対し、複数の業者から見積もりを取りたい旨を丁寧に説明し、理解を求めます。
指定業者の見積もりを精査する:
指定業者の見積もりが相場と比べて妥当かどうか、他の業者の見積もりと比較しましょう。明らかに高額な場合は、寺院に相談して価格交渉を行います。
親族の反対にあった場合
家族や親族の中に「 古い墓をそのまま残したい 」と思う方がいる場合は、十分な話し合いが必要です。反対を押し切って墓じまいを進めると、あとで家族間のいざこざが残ることがあります。
💡 対処法:
理解を得るためのアプローチ:
- 墓じまいの 具体的な理由 を丁寧に説明する(管理負担、継承者不在など)
- 改葬先での 供養方法の詳細 を共有し、故人への敬意は変わらないことを伝える
- 現在のお墓を維持する場合の 将来の負担 について具体的に話し合う
- 写真や動画で 思い出を残す方法 を提案し、お墓がなくなっても記憶は残ることを示す
できるだけ早い段階から話し合いを始め、全員が納得してから墓じまいを進めることが理想的です。特に故人と近しい関係にあった親族には、丁寧な説明と配慮が必要です。
見積もりより高額になった場合
墓じまいの費用が、 見積もりよりも大幅に高額 になるケースがあります。特に安価な見積もりを提示する業者には注意が必要です。
⚠️ 高額請求の原因:
- 基本料金に含まれる作業範囲が限定的で、多くの追加作業が発生
- 「墓石が想定より大きい」「アクセスが悪い」などの理由で追加請求
- 見積もり時に現地調査を行っていない
💡 対処法:
予防策:
- 複数の業者 から見積もりを取る
- 見積書に 含まれる作業内容と含まれない作業 を明確に確認する
- 追加費用 が発生する可能性のある条件を事前に確認する
- 墓地の 立地や周辺状況 を業者に正確に伝え、現地調査を依頼する
- 口コミや評判を調査し、 実績のある信頼できる業者 を選ぶ
トラブル発生時の対応:
- 追加費用の詳細な内訳を書面で提示してもらう
- 追加作業が本当に必要だったか、他の業者にセカンドオピニオンを求める
- 不当な請求の場合は、支払いを拒否し、消費者センターや弁護士に相談する
墓じまいの費用相場(50~130万円程度)を念頭に置き、極端に安い見積もりには注意しましょう。価格だけでなく、丁寧な対応とアフターフォローを重視して業者を選ぶことが、トラブルを避ける最善の方法です。
墓じまいのよくある質問
- 墓じまいの費用は誰が負担するのですか?
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一般的には お墓の承継者 が負担します。承継者が決まっていない場合は、親族間で話し合って決めることになります。複数の親族で分担するケースも多く見られます。故人の遺産から支払うことも可能です。
- 墓じまいに補助金は使えますか?
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全国で 9自治体のみ が補助金制度を実施しています(北海道苫小牧市、群馬県太田市、茨城県水戸市、千葉県市川市・浦安市、東京都、大阪府岸和田市・泉大津市、岡山県玉野市)。東京都立霊園では施設変更制度により原状回復費用が無料になります。ほとんどの地域では補助金制度がないため、自費での準備が必要です。
- 離檀料は必ず払わなければいけませんか?
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離檀料には 法的根拠がなく、支払い義務はありません 。あくまでお礼のお布施という位置づけです。一般的な相場は3~30万円程度ですが、高額請求された場合は弁護士や宗派の本山に相談することで妥当な金額に落ち着くことが多いです。円満に墓じまいを進めるため、事前に寺院と相談して双方が納得できる金額で合意することをおすすめします。
- 墓じまいにどのくらいの期間がかかりますか?
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一般的に 1~3ヶ月程度 かかります。親族との相談や寺院との話し合いに時間がかかる場合は、半年以上かかることもあります。行政手続きだけなら2~4週間程度で完了しますが、改葬先の選定や業者の手配、閉眼供養の日程調整などを含めると余裕を持った計画が必要です。
- 墓じまい後、遺骨はどうすればいいですか?
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主な選択肢は 永代供養墓、納骨堂、樹木葬、散骨、手元供養 の5つです。費用や管理の手間、参拝のしやすさなどを考慮して選びましょう。遺骨を分骨して、一部は永代供養墓に、一部は手元供養にするなど、複数の方法を組み合わせることも可能です。家族の希望や故人の意思を尊重して決めることが大切です。
- 遠方のお墓でも代行業者に依頼できますか?
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はい、 全国対応の代行業者 が多数あります。ミキワ、イオンのお葬式、お墓のお引越しくんなどは全国対応しています。ただし、地域によって追加費用が発生する場合があるため、見積もり時に確認しましょう。遠方のお墓こそ代行業者の利用が効果的で、現地に何度も足を運ぶ負担を軽減できます。
- 墓石を移転して使うことはできますか?
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可能ですが、 新しい墓地が受け入れを拒否するケース があります。古い墓石は受け入れない方針の墓地、別の宗派の戒名が刻まれた墓石を受け入れられない墓地、サイズや形状が規格に合わない場合などです。墓石の移転を検討している場合は、新しい墓地の管理者に事前に確認することが重要です。移転できない場合の代替案も考えておきましょう。
- 墓じまいの費用が払えない場合はどうすればいいですか?
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いくつかの対策があります。 分割払いに対応している代行業者 を選ぶ、信販系カードローンを利用する、親族間で費用を分担する、補助金制度がある自治体か確認するなどです。また、改葬先を合祀タイプの永代供養墓や散骨にすることで総額を抑えることができます。どうしても費用が工面できない場合は、自治体の福祉窓口に相談してみましょう。
墓じまいの費用まとめ
墓じまいの費用は総額50~130万円程度が平均的な実態で、お墓の規模や立地条件、改葬先の選択によって大きく変動します。費用の内訳は墓石撤去・処分費用(20~50万円)、行政手続き費用(数百円~数千円)、改葬先の費用(5~100万円超)の3つで構成されます。
費用を抑えるには、複数の代行業者から見積もりを取り、サービス内容と料金を比較することが重要です。補助金制度は全国9自治体でのみ実施されており、ほとんどの地域では利用できません。離檀料は法的根拠がなく交渉可能で、高額請求された場合は弁護士や宗派の本山に相談しましょう。
墓じまいは一生に一度の重要な決断です。親族や寺院との事前相談を十分に行い、信頼できる業者を選んで後悔のない選択をしてください。

