葬儀から帰宅後、訃報の案内を見返して「香典辞退」の文字に気づいた瞬間、血の気が引く思いをしていませんか?
「なぜ確認しなかったのか」「遺族に失礼なことをしてしまった」——そんな後悔と焦りで、今すぐ謝罪の連絡を入れるべきか悩んでいる方も多いでしょう。
近年は家族葬の増加に伴い香典辞退が一般的になりましたが、案内状の末尾に小さく記載されていたり、職場経由で情報が省略されたりと、見落としやすい状況が増えています。
この記事では、葬儀マナーの基本知識をもとに、渡してしまった後の正しい対処法・遺族側の一般的な対応・今後同じ失敗を避けるための確認ポイントを詳しく解説します。
読み終える頃には、不安や罪悪感から解放され、今後の葬儀参列でも自信を持って対応できるようになるはずです。
結論から言えば、香典辞退を知らずに渡してしまっても、大きな問題にはなりません。なぜそう言えるのか、具体的な理由とともに見ていきましょう。
香典辞退を知らずに渡してしまった時の対処法
渡してしまっても大きな問題にはならない
香典辞退を知らなかったとはいえ、香典を渡す行為自体は故人を偲ぶ弔意の表れです。遺族に対して失礼にあたることはありません。
香典辞退の主な理由:
- 🔹 香典返しの負担を減らしたい
- 🔹 参列者に金銭的負担をかけたくない
- 🔹 家族だけで静かに見送りたい
いずれも「香典を受け取りたくない」という拒絶ではなく、参列者への配慮や遺族側の事情によるものです。「辞退しているのに渡してきた」と不快に思われることは、通常ありません。
遺族側の一般的な対応
香典辞退を伝えていたにもかかわらず香典を受け取った場合、遺族は以下のいずれかで対応するのが一般的です。
| 遺族の対応 | 内容 |
|---|---|
| 受け取って香典返しを用意する | 最も一般的な対応。通常どおり香典返しを行う |
| 受け取るが香典返しは省略する | 事前に「香典返し不要」と伝えている場合など |
| その場で丁重にお断りする | 辞退の意向が強い場合。まれなケース |
多くの場合、遺族は受け取ったうえで香典返しを用意します。「渡してしまったから迷惑をかけた」と過度に心配する必要はありません。
自分から申し出る必要はあるか
「香典辞退と知らずに渡してしまいました」と、改めて遺族に申し出る必要は基本的にありません。
遺族は葬儀前後で多忙を極めており、わざわざ連絡を入れることでかえって負担をかけてしまう可能性があります。すでに渡した香典については、そのまま弔意として受け取ってもらえば問題ありません。
ただし、後日「香典返しは不要です」と伝えたい場合は、葬儀後しばらく経ってから手紙やメールで一言添えるのも一つの方法です。
香典辞退を見落としやすいケースと原因
訃報の確認が不十分だった
訃報の案内には、日時・場所とともに**「ご香典は辞退させていただきます」「ご厚志は辞退申し上げます」**といった一文が記載されていることがあります。
見落としやすいポイント:
- 🔹 案内状の末尾や備考欄に小さく記載されている
- 🔹 「ご厚志」「ご芳志」など、香典と明記されていない表現
- 🔹 口頭での伝達で「香典辞退」の部分だけ省略された
訃報を受け取ったら、日時・場所だけでなく、香典や供花に関する記載も必ず確認する習慣をつけましょう。
職場や知人経由で伝言が省略された
訃報が職場の総務部や知人経由で届いた場合、香典辞退の情報が伝達の過程で省略されるケースがあります。
「○○さんのお父様が亡くなられた。葬儀は○日」という情報だけが伝わり、香典辞退の案内が抜け落ちてしまうことは珍しくありません。
間接的に訃報を聞いた場合は、可能であれば元の案内文を確認するか、総務担当者や伝えてくれた人に「香典や供花の取り扱いはどうなっていますか?」と確認するのが確実です。
家族葬の案内に慣れていなかった
近年増加している家族葬では、香典辞退が一般的になっています。しかし、従来の葬儀に慣れている方にとっては、「葬儀=香典を持参するもの」という認識が根強く残っている場合があります。
家族葬の費用相場でも解説していますが、家族葬では香典収入を見込まない代わりに、参列者の負担を軽減する傾向があります。「家族葬」と聞いたら、香典辞退の可能性を念頭に置いて確認することが大切です。
香典辞退と言われたらどう対応すべきか
辞退の意向は素直に受け入れる
香典辞退と明示されている場合は、遺族の意向を尊重して香典は持参しないのが基本マナーです。
「本当に渡さなくていいのだろうか」「少額でも包んだ方が良いのでは」と迷う気持ちはわかりますが、辞退を表明しているにもかかわらず香典を渡すと、遺族に以下の負担が生じます。
辞退後に香典を渡すことで生じる遺族の負担:
- 🔹 香典返しの手配が必要になる
- 🔹 他の参列者との公平性が崩れる
- 🔹 断りきれなかったことへの心理的負担
遺族が「辞退」と伝えている以上、その意向に従うことが最も礼儀正しい対応です。
無理に渡そうとしない理由
「せっかく用意したから」「気持ちだけでも」と香典を渡そうとする方がいますが、受付で断られた場合は素直に引き下がるのがマナーです。
遺族や受付係が困惑するだけでなく、他の参列者の前で押し問答になると、葬儀の雰囲気を損なうことにもなりかねません。
どうしても弔意を形にしたい場合は、香典以外の方法(後述)を検討しましょう。
辞退されても弔意を伝える方法
香典を渡せなくても、弔意を伝える手段は他にもあります。
香典以外で弔意を示す方法:
- 🔹 葬儀に参列して焼香する
- 🔹 弔電を送る
- 🔹 後日、お悔やみの手紙を送る
- 🔹 供花・供物が辞退されていなければ贈る
「香典を渡せない=弔意を示せない」ではありません。参列すること自体が、故人と遺族への大きな弔意の表れです。
香典辞退の代わりにできること
香典辞退と言われた場合でも、別の形で弔意を示したいと考える方は多いでしょう。ただし、供花・供物も辞退されているケースがあるため、事前確認が必要です。
供花・お花代を贈る場合の注意点
香典は辞退でも供花(お花代)は受け付けている場合があります。訃報の案内に「ご供花は○○までお申し込みください」などの記載があれば、供花を贈ることができます。
供花を贈る際のポイント:
- 🔹 葬儀社経由で手配するのが一般的
- 🔹 相場は1基15,000円〜20,000円程度
- 🔹 案内がない場合は遺族に確認してから手配する
お花代として現金を包む場合は、お花代の書き方を参考に、適切な表書きで用意しましょう。
注意点として、「供花・供物一切を辞退」と明記されている場合は、花を贈ることも控えるべきです。
弔電を送る
香典も供花も辞退されている場合、弔電は受け付けているケースが多いです。弔電は金品ではないため、遺族に返礼の負担をかけずに弔意を伝えられます。
弔電の送り方:
- 🔹 NTTの電報サービス(115)やWeb申込
- 🔹 葬儀場宛てに、葬儀・告別式の開始時刻までに届くよう手配
- 🔹 宛名は喪主名とするのが一般的
弔電の詳しい手配方法は弔電の送り方・書き方で解説しています。
後日お悔やみの手紙を送る
葬儀に参列できなかった場合や、何も贈れなかった場合は、後日お悔やみの手紙を送るのも丁寧な弔意の示し方です。
お悔やみの手紙のポイント:
- 🔹 葬儀後1週間〜1か月以内を目安に送る
- 🔹 故人との思い出や、遺族への労いの言葉を添える
- 🔹 便箋は白無地か薄いグレー、封筒は一重のものを使用
長文である必要はありません。「故人を偲び、ご冥福をお祈りしています」という気持ちが伝われば十分です。
供花・供物も辞退されている場合
香典・供花・供物のすべてを辞退している場合は、遺族の意向を最優先してください。
この場合にできること:
- 🔹 葬儀に参列して焼香する
- 🔹 弔電を送る(受付可能か確認)
- 🔹 後日、お悔やみの手紙を送る
- 🔹 四十九日以降に改めてお参りさせてもらう
「何も贈れないのは失礼」と考える必要はありません。遺族が負担を減らしたいと考えているなら、その気持ちを汲み取ることこそが本当の弔意です。
職場で香典辞退の連絡を受けた場合の対応
個人として弔意を示す方法
同僚や上司の身内に不幸があり、香典辞退の連絡を受けた場合、個人としてできることを考えましょう。
個人でできる弔意の示し方:
- 🔹 葬儀参列が許可されていれば参列する
- 🔹 出勤時に直接お悔やみの言葉を伝える
- 🔹 弔電を送る(個人名義)
- 🔹 忌引き明けにさりげなく声をかける
形式的な金品よりも、直接の言葉や態度で示す弔意の方が、かえって相手の心に響くこともあります。
部署・チームでの対応例
職場として対応する場合も、香典辞退の意向は尊重するのが基本です。
部署・チームでの対応例:
| 対応方法 | 内容 |
|---|---|
| 弔電を送る | 部署名義で葬儀場宛てに送付 |
| 花を贈る | 供花が辞退されていなければ部署名義で手配 |
| お悔やみカードを渡す | 部署メンバーからのメッセージを集めて渡す |
| 何もしない | 遺族の意向に従い、出勤時に声をかける程度にとどめる |
総務部や上司と相談のうえ、会社としての方針を確認してから対応しましょう。個人の判断で動くと、他の社員との足並みが揃わなくなる可能性があります。
メールで辞退を伝える場合の文例
自分が喪主側で、職場に香典辞退を伝える際の文例を紹介します。
📩 香典辞退を伝えるメール例文
件名:【訃報】父逝去のご報告と香典辞退のお願い
各位
私事で恐縮ですが、かねてより療養中でした父が、○月○日に永眠いたしました。
葬儀は家族のみで執り行う予定です。 誠に勝手ながら、ご香典・ご供花・ご弔電等のご厚志は辞退させていただきます。
ご理解いただけますようお願い申し上げます。
○月○日より○日間、忌引き休暇をいただきます。 ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
弔電も辞退する場合は、その旨を明記しておくと参列者が迷わずに済みます。
【遺族向け】香典辞退したのに届いた場合の対応
ここからは遺族側の視点で、香典辞退を伝えていたにもかかわらず香典を受け取ってしまった場合の対応を解説します。
受け取って香典返しをする
香典辞退を伝えていても、届いた香典は受け取って、通常どおり香典返しを行うのが最も無難な対応です。
相手は「辞退を知らなかった」「それでも弔意を示したかった」という気持ちで渡しています。送り返すのは相手の好意を拒否する形になるため、避けた方が良いでしょう。
香典返しの相場は、いただいた金額の半額〜3分の1程度が目安です。詳しくは香典返しの金額相場とマナーを参考にしてください。
送り返すのは避けた方が良い理由
「辞退と伝えたのだから」と香典を送り返すことは、相手に恥をかかせる行為と受け取られる可能性があります。
送り返すことで生じる問題:
- 🔹 相手が「突き返された」と感じて傷つく
- 🔹 今後の人間関係に悪影響を及ぼす可能性
- 🔹 辞退を見落とした相手をさらに恥ずかしい思いにさせる
送り返すことで遺族側が「筋を通した」と感じても、相手の気持ちを踏みにじる結果になりかねません。受け取って香典返しをする方が、双方にとって穏やかな解決策です。
お礼状の書き方
香典辞退を伝えていたにもかかわらず香典をいただいた場合、香典返しに添えるお礼状の文面は以下のようにまとめられます。
📝 お礼状の文例
謹啓
先般 亡父○○の葬儀に際しましては ご多用中にもかかわらずご会葬を賜り 誠にありがとうございました
香典辞退の旨をお伝えしておりましたが ご厚志を頂戴し 故人もさぞかし喜んでいることと存じます 心より御礼申し上げます
ささやかではございますが 供養のしるしとして心ばかりの品をお送りいたします 何卒ご受納くださいますようお願い申し上げます
略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます
敬具
「辞退していたのに」と責めるニュアンスは避け、感謝の気持ちを伝える文面にまとめましょう。
よくある質問
- 香典辞退なのに渡してしまい、後から返されることはある?
-
一般的には返されることはありません。遺族は受け取ったうえで香典返しを行うケースがほとんどです。返却されるのは非常にまれなケースで、通常は心配不要です。
- 香典辞退を知らなかったことを謝罪すべき?
-
改めて謝罪する必要はありません。遺族も「知らなかったのだろう」と理解しています。葬儀後にわざわざ連絡を入れると、かえって遺族の負担になる可能性があります。
- 親族の場合も香典辞退に従うべき?
-
基本的には従うべきです。ただし、親族間では「辞退と言っても親族からは受け取る」という暗黙の了解がある場合もあります。迷う場合は、喪主や他の親族に直接確認するのが確実です。
- 後日改めて香典を渡しに行くのは失礼?
-
香典辞退を表明している以上、後日改めて渡しに行くのは避けた方が良いでしょう。弔意を示したい場合は、お参りに伺う際に手土産(お菓子など)を持参する程度にとどめるのが無難です。
まとめ
香典辞退を知らずに渡してしまった場合、過度に心配する必要はありません。遺族は弔意として受け止め、通常は香典返しで対応します。
今後同じ失敗を避けるためには、訃報を受け取った際に「香典・供花の取り扱い」を必ず確認する習慣をつけましょう。特に家族葬では香典辞退が一般的なため、案内状の隅々まで目を通すことが大切です。
香典辞退と言われた場合は、遺族の意向を尊重しつつ、弔電や手紙など別の形で弔意を伝える方法を検討してみてください。
【参考情報】

