葬儀費用が払えない時の対処法|今すぐできる解決策と公的支援制度

葬儀費用が払えない時

大切な家族を亡くした悲しみの中で、100万円を超える葬儀費用の請求に直面し、「払えない」と頭を抱えていませんか?突然のことで貯金もなく、親族にも相談しづらく、どうすればいいのか分からない――そんな状況に追い込まれている方は少なくありません。

葬儀は突然訪れるものであり、平均費用が105〜200万円と高額です。しかし、多くの人は「葬儀費用が払えない場合の対処法」を知らないまま、不安を抱えています。

本記事では、預貯金の仮払い制度葬祭扶助制度など、最新の法制度と公的支援制度について詳しく解説します。葬儀前に費用を抑える方法(直葬20〜40万円など)、葬儀後の支払い方法(クレジットカード、葬儀ローンなど)、生活保護受給者が自己負担0円で葬儀を行う方法まで、状況別に具体的な対処法を紹介します。

この記事を読むことで、あなたの状況に合った最適な対処法が分かり、経済的な不安を軽減しながら、大切な方を心を込めて送り出すことができます。葬儀費用が払えなくても、必ず解決策はあります。

目次

葬儀費用が払えない場合の対処法【状況別一覧】

葬儀費用の支払いが難しい場合、あなたの状況によって取るべき対処法が異なります。以下の表で、まず自分がどの状況に該当するかを確認してください。

あなたの状況優先すべき対処法費用の目安
葬儀前で予算が限られている直葬・一日葬など小規模な葬儀を選ぶ20〜50万円
葬儀後で一括払いが難しいクレジットカード払い・葬儀ローン分割払い可能
生活保護を受給している葬祭扶助制度を利用自己負担0円
故人の預金がある預貯金の仮払い制度を活用最大150万円

葬儀前の段階でできること

まだ葬儀を執り行っていない段階であれば、予算内に抑える選択肢があります。

📋 主な対処法

  • 直葬(火葬式):20〜40万円程度。通夜も告別式も行わない最もシンプルな形式
  • 一日葬:約50万円。通夜を省略し、告別式と火葬を1日で行う
  • 家族葬:約105万円。近親者だけで執り行う小規模な葬儀
  • 複数の葬儀社から見積り:同じ内容でも葬儀社によって費用が大きく異なるため、比較検討が重要

葬儀の規模を小さくすることで、費用を大幅に抑えられます。特に直葬を選べば、一般葬の10分の1程度の費用で済みます。

葬儀後の支払いが厳しい場合

すでに葬儀を行った後で金額の変更ができない場合は、支払い方法を工夫する必要があります。

💳 主な対処法

  • クレジットカード払い:請求まで約1ヶ月の猶予があり、分割払いも可能
  • 葬儀ローン:最長24回払いなど柔軟な返済プランがある
  • 親族で分担:兄弟姉妹や親族で費用を分け合う
  • 故人の預金の仮払い:相続手続き前でも葬儀費用として引き出せる制度
  • 葬祭費給付金:国民健康保険や健康保険から1〜7万円が支給される

現金を即日用意できない場合でも、複数の支払い手段を組み合わせることで対応できます。

生活保護受給者の場合

生活保護を受給している方、または故人が生活保護受給者だった場合は、葬祭扶助制度を利用できます。

🏥 葬祭扶助の特徴

  • 自己負担0円で葬儀が可能
  • 支給額:1級地・2級地は大人21万5,000円以内、3級地は大人18万8,100円以内
  • 対象:直葬(火葬式)のみ。通夜や告別式は含まれない
  • 申請:必ず葬儀前に福祉事務所へ申請が必要

葬祭扶助を利用すれば、経済的な負担なく故人を送ることができます。詳しい申請方法は後述します。

葬儀費用を抑える方法【葬儀前にできること】

葬儀前であれば、費用を可能な限り抑える方法があります。ここでは葬儀費用を予算内に収めるための具体的な方法を、費用が安い順に紹介します。

葬儀の規模を小さくする

葬儀費用は規模を小さくすることが最も効果的な節約方法です。

広く参列者を集める一般葬では、式場の広さ、装飾、参列者への飲食提供などによって費用が100万円から200万円に膨らみます。近年では一般葬の必要性も薄れてきており、葬儀の形式も多様化しています。

主な葬儀形式と費用相場

葬儀形式費用相場特徴
直葬(火葬式)20〜40万円通夜・告別式なし。火葬のみ
一日葬約50万円通夜なし。告別式と火葬を1日で
家族葬約105万円近親者のみの小規模な葬儀
一般葬約200万円従来型の葬儀

故人のお人柄や遺族の考え方に合わせて、無理のない規模の葬儀を選ぶことが大切です。

直葬(火葬式)で最小限の費用に抑える

**直葬(火葬式)**は、通夜も告別式も行わず、火葬のみを行う最もシンプルな葬儀形式です。

直葬の費用相場20〜40万円程度

💰 直葬を選ぶメリット

  • 費用負担が最も少ない(一般葬の10分の1程度)
  • 法的に必要な最低限の対応で済む
  • 遠方に住む親族が多く集まるのが難しい場合に適している
  • 故人の「葬儀はしなくていい」という生前の希望に沿える

全体の葬儀の約1割がこの直葬という形式を選んでおり、決して珍しいものではありません。ただし、故人との最後のお別れの時間が短くなることで、心の整理がつかないまま見送ることになる点は考慮が必要です。

⚠️ 注意点

  • 菩提寺がある場合、事前に相談が必要(直葬を認めない寺院もある)
  • 参列できなかった方への対応を考えておく
  • 火葬場での簡単なお別れの時間は確保できる

一日葬で時間と費用を節約する

一日葬は、通夜を行わず、告別式と火葬を1日で執り行う葬儀形式です。2日間かかる一般的な葬儀を1日に集約することで、式場使用料や人件費を抑えられます。

一日葬の費用相場約50万円

一日葬のメリット

  • 1日で全てが完結するため日程調整がしやすい
  • 2日間の負担がないため高齢の遺族でも体力的に対応しやすい
  • 告別式の時間を柔軟に設定できるケースが多い
  • 直葬よりはしっかりとお別れができる

一方で、通常の葬儀では通夜への参列者が多いケースもあるため、参列者が限られてしまう可能性があります。また一日葬は比較的新しい葬儀スタイルのため、菩提寺によってはNGとなる場合もあります。事前に菩提寺への相談が必要です。

家族葬の費用相場と特徴

家族葬は、近親者や親しい方だけで執り行う小規模な葬儀です。参列者を限定することで、自然と費用が抑えられます。

家族葬の費用相場約105万円

👨‍👩‍👧‍👦 家族葬のメリット

  • 親しい人だけの集まりでアットホームな雰囲気で送ることができる
  • 遺族の精神的・身体的負担が軽減される
  • 一般葬の半額程度に費用を抑えられる
  • 参列者への気遣いが少なく、故人とゆっくりお別れできる

ただし、参列者の範囲をどこまでにするかで悩むケースもあります。「家族葬」という名称から家族だけと思われがちですが、親戚や親友など、誰を招くかは遺族が自由に決めることができます。

後日、「葬儀に呼ばれなかった」と感じた方とのトラブルを避けるため、事前に親族や関係者への説明が重要です。

複数の葬儀社から見積りを取る重要性

葬儀の費用が予算オーバーになってしまう原因のほとんどは、事前の葬儀社との打ち合わせ不足です。同じような内容の葬儀でも、葬儀社によって費用が大きく異なることがあります。

複数見積りを取るべき理由

前もってどれくらいの予算で葬儀をしたいのかを踏まえて複数の葬儀社から見積りを出してもらうことで、大きく予算から外れることを防げます。

📝 見積りを取る際のポイント

  • 必須項目とオプションを明確に区別してもらう
  • 追加費用が発生する可能性について確認する
  • 支払い方法(クレジットカード対応の有無や分割払いなど)を確認する
  • 最低3社から見積りを取って比較する
  • 不明瞭な項目は必ず説明を求める

生前に葬儀の準備をするのは気が引ける方もいるかもしれませんが、残される遺族のためでもありますので、可能な限り見積りをとっておくことをおすすめします。

危篤になったり、お亡くなりになったタイミングで見積りを出そうとしても、じっくり検討する余裕は既にありません。落ち着いた状態で比較検討することが、予算内に抑えるための重要なステップです。

葬儀費用の支払い方法【すぐに現金を用意する手段】

葬儀費用の支払いが難しくなる主な要因は「即日に現金で支払う」必要があることです。突然の葬儀でまとまった金額を用意するのは簡単ではありません。ここでは、葬儀費用を工面するための実践的な方法をご紹介します。

親族で費用を分担する

まず考えられるのが、家族や親族で費用を分担することです。

基本的には喪主や葬儀の施行主が責任者となりますが、葬儀は親族も関わる儀式です。葬儀費用の負担が一人に集中することで、経済的・精神的な負担が大きくなることを避けるためにも、声をかけられる親族がいれば、協力を依頼することを検討しましょう。

👨‍👩‍👧‍👦 分担方法の例

  • 兄弟姉妹で均等に負担する
  • 親族それぞれの経済状況に応じて負担割合を決める
  • 葬儀の手配や手続きを担当する人と費用を負担する人で分担する

事前に話し合いを持ち、明確な金額と支払い方法を決めておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。口頭での約束だけでなく、可能であればメールやメモで記録を残しておくと安心です。

クレジットカードでの支払い

葬儀費用のクレジットカード決済に対応している葬儀社が増えています。

💳 クレジットカード払いのメリット

  • 現金を即日用意する必要がない
  • カード会社からの請求まで約1ヶ月の猶予期間がある
  • 高額決済によるポイント還元を受けられる
  • 必要に応じて分割払いやリボ払いが選択できる

⚠️ 注意点

  • お布施など寺院関連費用は現金のみの場合が多いため、ある程度の現金は必要
  • カードの限度額を事前に確認し、必要に応じて一時的な増額申請を行う
  • 葬儀社によって利用可能なカードブランドが異なる場合がある
  • 分割払いの場合は金利が発生する

葬儀前に葬儀社にクレジットカード払いの可否対応ブランドを確認しておきましょう。多くの葬儀社ではVISA、MasterCard、JCBなどの主要ブランドに対応していますが、American Expressやダイナースクラブは使えない場合もあります。

葬儀ローン・分割払いを利用する

多くの葬儀社では葬儀専用のローンサービスを提供しています。一般的には、オリコなどの信販会社と提携して、分割払いのプランを用意しています。

📋 葬儀ローンの特徴

  • 審査が比較的早く、即日〜数日で結果が出る
  • 葬儀費用に特化したローンのため、限度額が大きい傾向がある
  • 最長24回払いなど柔軟な返済プランがある
  • 葬儀社を通じての申し込みで手続きが簡素化される

葬儀ローンを検討する際は、金利条件手数料返済期間などをしっかり確認し、無理のない返済計画を立てることが大切です。

また、葬儀社によっては後払い制度(コンビニ払いや振込用紙での支払い)を導入しているところもあります。この場合、葬儀後1〜2週間以内に支払えばよいため、その間に現金を用意する時間的余裕が生まれます。

カードローン・キャッシングで借りる

葬儀社が提供するローンサービスを利用できない場合や、すでに取引のある金融機関を利用したい場合は、一般的なキャッシングやカードローンで現金を用意する方法もあります。

💰 カードローン活用のポイント

  • すでに持っているクレジットカードのキャッシング枠を利用すれば手続きが簡単
  • 銀行系カードローンは金利が比較的低い傾向がある(年3〜15%程度)
  • 早ければ当日〜翌日には現金が引き出せる
  • 親族に相談することなく、その場をしのぐことができる

⚠️ 注意点

当然ながら、この方法も返済に利子がつくデメリットがあります。計画的な返済を心がけることが重要です。特に消費者金融系のカードローンは金利が高い(年15〜18%程度)ため、早期の返済を心がけましょう。

故人の預金の仮払い制度を活用する

「故人の貯金があるから葬儀費用に充てられないか」と考えるのは自然なことです。通常、故人名義の口座は死亡が判明すると凍結されますが、預貯金の仮払い制度を利用すれば葬儀費用として引き出すことができます。

預貯金の仮払い制度は2019年7月に創設された制度で、故人の葬儀費用や残された家族の当面の生活費として、家庭裁判所の判断を受けずに銀行窓口で預貯金の一部を払い戻すことができます。

🏦 仮払い制度のポイント

  • 葬儀費用などの急を要する出費に対応できる
  • 遺産分割協議が成立していなくても利用可能
  • 払い戻し上限額:相続開始時の預貯金額×1/3×法定相続分(ただし金融機関ごとに上限150万円)
  • 相続人全員の同意は不要(単独で請求可能)

📝 必要書類

  • 故人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
  • 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
  • 請求者の印鑑証明書
  • 請求者の本人確認書類

金融機関によって手続きが異なりますので、詳しくは故人が口座を持っていた金融機関に問い合わせましょう。

⚠️ キャッシュカードでの無断引き出しはNG

キャッシュカードと暗証番号があれば技術的には引き出し可能ですが、これには重大なリスクがあります。後の相続手続きの複雑化や他の相続人とのトラブルの原因になるだけでなく、相続放棄ができなくなる可能性があります。必ず正規の手続きを踏むようにしましょう。

生活保護受給者は葬祭扶助で自己負担ゼロ

葬儀に支払うお金が全く余裕がないという場合、条件を満たせば市区町村から葬祭扶助を受けることができます。生活保護受給者や身寄りのない方の葬儀費用をサポートする制度で、適切に申請すれば最低限必要な葬儀を自己負担0円で行うことが可能です。

葬祭扶助制度の対象者

葬祭扶助は生活保護法の第18条で定められている制度で、生活保護を受けていて葬儀費用を捻出することができない場合に、葬儀費用が給付される仕組みです。これを利用して行う葬儀は「福祉葬」「民生葬」「生活保護葬」とも呼ばれています。

葬祭扶助を受けられる対象者

  • 生活保護受給者が亡くなった場合で、葬儀を行う扶養義務者がいない、または扶養義務者が経済的に困窮している場合
  • 生活保護を受給している人が葬儀の喪主となる場合で、葬儀費用を支払えない場合
  • 故人に身寄りがなく、葬儀の施主となる第三者(友人や知人など)が葬儀を行う場合

葬祭扶助の対象とならない場合

  • 故人に葬儀費用を賄える預貯金がある場合
  • 葬儀費用を支払える親族がいる場合
  • 葬儀の施主が一般的な葬儀ができる生活水準にある場合

葬祭扶助の支給額と適用範囲

葬祭扶助の支給額は、地域の級地により異なります。

💰 支給額(令和6年4月改定):

級地大人(12歳以上)子供(12歳未満)
1級地・2級地21万5,000円以内17万2,000円以内
3級地18万8,100円以内15万500円以内

級地は自治体によって異なるため、詳細はお住まいの福祉事務所に確認してください。一般的に、東京23区や政令指定都市は1級地、地方都市は2級地、町村部は3級地に分類されることが多いです。

📋 葬祭扶助の適用範囲

法律で明確に定められており、以下の項目のみが対象です。

  • 死亡の検案(死亡診断書の作成)
  • ご遺体の運搬
  • 火葬または埋葬
  • 納骨その他葬祭のために必要最低限のもの

この範囲内で執り行われる葬儀は、一般的には「直葬」や「火葬式」と呼ばれる最もシンプルな形式になります。

対象外となるもの

  • 通夜や告別式などの宗教儀式
  • 僧侶への読経や戒名料
  • 香典返し
  • 豪華な祭壇や装飾

葬祭扶助はあくまでも法的に最低限必要な手続きのみをカバーするものです。葬祭扶助の範囲を超えた葬儀を行いたい場合、その差額を自己負担することはできません。そうすると経済力があるとみなされ、葬祭扶助の受給資格を取り消されてしまいます。

申請方法と葬儀の流れ

葬祭扶助を利用するには、葬儀を行う前に申請することが絶対条件です。葬儀後の申請は認められません。

📝 申請手続きの流れ

  1. 申請者の居住地域の役所・役場の福祉課、福祉事務所、または民生委員に連絡
  2. 死亡診断書(死体検案書)を用意して葬祭扶助の申請を行う
  3. ケースワーカーによる条件審査(故人の資産状況や扶養義務者の有無など)
  4. 承認されたら、葬儀社に連絡して「葬祭扶助で葬儀を行いたい」と明確に伝える
  5. 葬儀社との打ち合わせ(火葬日時の決定など)
  6. 直葬・火葬式の執行
  7. 葬儀終了後、葬儀社から福祉事務所へ葬儀費用の請求
  8. 福祉事務所から葬儀社へ直接支払いが行われる

⚠️ 重要な注意点

申請先は、亡くなった方の住所地ではなく、申請者(喪主)の住民票がある福祉事務所になります。

葬儀社のなかには葬祭扶助の申請代行をしてくれるところもあるので、不安がある場合は最初から葬儀社に相談するとスムーズに進められます。多くの葬儀社は葬祭扶助制度に精通しており、申請から葬儀の執行まで総合的にサポートしてくれます。

葬祭扶助を利用する際の注意点

葬祭扶助制度を円滑に利用するため、以下の点に注意してください。

⚠️ 申請時の重要ポイント

  • 必ず葬儀前に申請すること(葬儀後の申請は不可)
  • 申請先は申請者(喪主)の住民票がある福祉事務所
  • 故人の資産状況や扶養義務者の有無について正確に申告する
  • 葬儀社には最初から「葬祭扶助で葬儀を行いたい」と明確に伝える

⚠️ 扶助範囲外の費用

  • 通夜や告別式などの宗教儀式
  • 僧侶への読経料や戒名料(希望する場合は自己負担)
  • 香典返し(香典を受け取ることは可能)
  • 豪華な祭壇や装飾

⚠️ トラブル防止のために

  • 葬祭扶助の範囲を超えた追加サービスを自己負担で依頼すると、受給資格を失う可能性がある
  • 不明な点は必ず福祉事務所のケースワーカーに事前確認する
  • 葬儀社が葬祭扶助に対応しているか、事前に確認する

時間的な猶予がない場合が多いため、葬儀社に依頼する際に生活保護受給者であることを伝え、適切なアドバイスを求めるのが現実的です。

健康保険・自治体の葬祭費給付制度

葬儀費用を少しでも軽減するために、故人が加入していた健康保険や自治体の制度を活用することができます。葬儀後の申請で支給される補助金制度があるため、確実に申請して支援を受けましょう。

国民健康保険の葬祭費

故人が国民健康保険に加入していた場合、葬儀を行った方(喪主)は自治体へ申請することで葬祭費の給付を受けることができます。

支給額1万円〜7万円程度(自治体によって異なる)

例えば東京23区の多くの自治体では7万円が支給されるケースが多いですが、地方によっては3〜5万円程度の場合もあります。

葬祭費を受け取るための条件

  • 葬儀を実際に行っていること(直葬・火葬式でも申請可能)
  • 故人が国民健康保険の被保険者であったこと
  • 申請期限:葬儀を行った日の翌日から2年以内

申請は故人が住民票を置いていた市区町村の役所で行います。葬儀社が代行してくれる場合もあるので、葬儀の打ち合わせ時に確認しておくとよいでしょう。

健康保険の埋葬料・埋葬費

故人が会社員や公務員として健康保険(社会保険)に加入していた場合は、埋葬料または埋葬費が支給されます。

支給額一律5万円(健康保険組合によって異なる場合あり)

📋 埋葬料と埋葬費の違い

  • 埋葬料:被保険者本人が死亡した場合に、葬儀を行った人に支給
  • 埋葬費:被保険者の家族(被扶養者)が死亡した場合に、被保険者に支給

共済組合や企業の独自制度では、さらに高額の給付を行っている場合もあります。

申請先は故人が加入していた健康保険組合全国健康保険協会(協会けんぽ)の各支部、共済組合などになります。職場の人事部や総務部に確認すると案内してもらえることが多いです。

自治体独自の葬祭費補助金制度

国民健康保険や社会保険の制度とは別に、一部の自治体独自の葬祭費助成制度が設けられている場合があります。

地域によって制度や金額は大きく異なりますが、以下のような例があります:

自治体補助金額
京都府城陽市上限4万円
京都府京田辺市上限4万円
京都府八幡市上限5万円

また、火葬料の助成を行っている自治体もあります。この場合、火葬場の使用料が減額または免除されることがあります。

これらの助成制度は広く知られていないことも多いため、葬儀の準備段階で地元の自治体にお問い合わせしてみることをお勧めします。

申請方法と必要書類

葬祭費や埋葬料・埋葬費を申請する際に必要な書類は共通しています。

📋 必要書類

  • 葬儀の領収書(申請者名義のもの)
  • 故人の保険証
  • 申請者の身分証明書
  • 申請者名義の振込先口座情報
  • 死亡診断書のコピーまたは埋火葬許可証のコピー
  • 申請書(自治体や保険組合の指定様式)
  • 印鑑(認印可)

📝 申請手順

  1. 葬儀後、必要書類を揃える
  2. 故人が加入していた保険の申請窓口に申請書を提出
  3. 審査後、指定した口座に給付金が振り込まれる

給付までの期間

  • 国民健康保険の葬祭費:約1〜2ヶ月
  • 健康保険の埋葬料・埋葬費:約2〜3週間

ただし、自治体や申請状況によって異なる場合があります。

申請忘れが多い制度ですので、葬儀後の混乱した時期でも忘れずに手続きを行うようにしましょう。葬儀費用の一部を補填できるため、確実に申請することをお勧めします。

故人の預貯金と葬儀費用

「故人の貯金があるから葬儀費用に充てられないか」と考えるのは自然なことですが、実際には注意すべき重要なポイントがあります。

預貯金引き出しの注意点

故人名義の口座からの預貯金引き出しには、法的な制限があります。口座名義人が亡くなった場合、金融機関は通常、その口座を凍結します。

その理由は、預貯金は**遺産(相続財産)**となり、相続手続きを経て初めて引き出せるものだからです。

⚠️ 無断引き出しのリスク

キャッシュカードと暗証番号があれば技術的には引き出し可能ですが、これには重大なリスクがあります。

  • 相続手続きの複雑化:後の相続手続きで使用分を差し引く必要が生じる
  • 他の相続人とのトラブル:了承なく使用すると親族間の争いの原因になる
  • 相続放棄の制限:故人の預金を使った場合、相続放棄ができなくなる可能性がある

葬儀社も一般的にこの問題を理解していますので、自己判断での引き出しではなく、まずは相談することをお勧めします。

預貯金の仮払い制度の使い方

2019年7月に創設された「預貯金の仮払い制度」(相続預金の払い戻し制度)は、この問題への対応策として重要です。

葬儀費用や残された家族の当面の生活費が必要な場合に、家庭裁判所の判断を受けずに銀行の窓口で預貯金の払い戻しができる制度です。

🏦 仮払い制度のポイント

  • 葬儀費用などの急を要する出費に対応できる
  • 遺産分割協議が成立していなくても利用可能
  • 払い戻し上限額:相続開始時の預貯金額×1/3×法定相続分(ただし金融機関ごとに上限150万円)
  • 相続人が単独で請求可能

計算例

  • 故人の預貯金:600万円
  • 法定相続人:配偶者と子2人(配偶者の法定相続分は1/2)
  • 配偶者が請求できる金額:600万円×1/3×1/2=100万円

この制度の利用方法については、金融機関に直接問い合わせるか、葬儀社のスタッフに相談するとよいでしょう。

葬儀費用と相続税の関係

葬儀費用と相続には密接な関連があります。知っておくべき重要なポイントは以下の通りです。

葬儀費用の相続税控除

葬儀費用は相続税の計算において控除されるという大きなメリットがあります。これにより、相続税の負担を軽減できます。

控除対象となる葬儀費用

  • 葬儀式場や火葬場の使用料
  • 棺や祭壇などの葬具代
  • 遺体の搬送費用
  • 火葬・埋葬に直接関わる費用
  • お布施、戒名料、読経料

控除対象とならない費用

  • 香典返し
  • 墓地や墓石の購入費
  • 法要(四十九日など)の費用
  • 相続人の食事代や宿泊費

葬儀費用を相続税から控除するためには、領収書の保管が不可欠です。葬儀社から受け取った領収書は大切に保管しておきましょう。

遺言での葬儀費用の指定

生前に遺言書で葬儀費用について指定しておくことも可能です。遺言書で「葬儀費用として○○万円を使ってほしい」と明記しておけば、相続人間でのトラブルを未然に防ぐことができます。

結論として、故人の預貯金を葬儀費用に充てる場合は、法的手続きを遵守し、親族間で十分に話し合うことが重要です。不安な点があれば、専門家(弁護士や税理士)や葬儀社のスタッフに相談することをお勧めします。

よくある質問

葬儀費用は誰が払うべきですか?

法律上の決まりはありませんが、一般的には喪主が負担するケースが多いです。ただし、相続人全員で分担する、故人の遺産から支払う、といった方法も可能です。親族間で事前に話し合って決めることをお勧めします。

故人の預金を勝手に引き出したらどうなりますか?

相続放棄ができなくなる可能性があります。また、他の相続人とのトラブルの原因になります。必ず預貯金の仮払い制度など正規の手続きを利用してください。

葬儀ローンの審査に落ちた場合はどうすればいいですか?

親族での分担クレジットカードの分割払い故人の預金の仮払い葬祭費給付金の前借り相談などの方法があります。葬儀社に相談すれば、後払い制度など別の支払い方法を提案してくれる場合もあります。

葬祭費給付金の申請を忘れていました。今からでも間に合いますか?

葬儀を行った日から2年以内であれば申請可能です。必要書類を揃えて、自治体または健康保険組合に申請してください。

相続放棄する予定ですが、葬儀費用を払っても大丈夫ですか?

社会通念上相当な範囲の葬儀費用であれば、相続放棄は可能です。ただし、過度に高額な葬儀を行うと相続を承認したとみなされる可能性があります。不安な場合は弁護士に相談してください。

クレジットカード払いに対応していない葬儀社の場合はどうすればいいですか?

葬儀ローン後払い制度カードローンなどの方法があります。また、複数の葬儀社から見積りを取る際に、クレジットカード払いに対応している葬儀社を選ぶことも検討してください。

葬祭扶助で香典は受け取れますか?

はい、香典は収入とはみなされないため受け取れます。ただし、香典返しの費用は葬祭扶助の対象外となります。

葬祭扶助で読経を依頼できますか?

葬祭扶助では僧侶への読経料は含まれません。読経を希望する場合は実費での自己負担が必要ですが、自己負担すると受給資格を失う可能性があるため注意が必要です。

葬祭扶助を受けた場合、遺骨はどうなりますか?

家族や親族が引き取れる場合は、先祖代々の墓に納めることができます。引き取り手がいない場合は、自治体の納骨スペースに納められ、のちに合葬墓にまとめられます。

預貯金の仮払い制度の上限150万円を超える葬儀費用が必要な場合は?

クレジットカード払い葬儀ローンとの併用が可能です。また、複数の金融機関に口座がある場合、各金融機関ごとに150万円まで引き出せます。

まとめ

葬儀費用が払えない状況に直面しても、様々な対処法や支援制度があります。

📋 状況別の対処法

  • 葬儀前:直葬(20〜40万円)、一日葬(約50万円)、家族葬(約105万円)など規模を小さくする
  • 葬儀後:クレジットカード払い、葬儀ローン、親族での分担、預貯金の仮払い制度
  • 生活保護受給者:葬祭扶助制度で自己負担0円(必ず葬儀前に申請)

💰 公的支援制度

  • 国民健康保険の葬祭費(1〜7万円)
  • 健康保険の埋葬料(5万円)
  • 自治体独自の補助金制度

重要なのは、事前の準備と情報収集です。複数の葬儀社から見積りを取り、予算内でのプラン提案を受けることで、不必要な費用を抑えられます。また、各種給付金制度は申請しなければ受け取れないため、忘れずに手続きを行いましょう。

現代では「立派な葬儀=高額な葬儀」という考え方も変わりつつあります。故人の意向や遺族の状況に合わせた、無理のない形で心のこもった送り出し方を考えることが大切です。不安がある場合は、葬儀社の相談窓口や自治体の福祉窓口など、専門家に相談することをためらわないでください。

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