遺骨を引き取りたくない場合の対処法 拒否できる条件・手続き・費用を解説

電話をしながら「重要:公的通知」と書かれた書類を見て、困惑した表情を浮かべる40〜50代の日本人女性

長年音信不通だった親が亡くなり、突然「遺骨を引き取ってください」と連絡が来た——。引き取るべきなのか、拒否できるのか、答えが分からないまま時間だけが過ぎていく。そんな状況に追い込まれていませんか?

この問題で悩む人が増えている背景には、核家族化や親族関係の希薄化があります。総務省の調査によると、引き取り手のない遺骨は全国で約6万柱に上り、わずか3年半で30%以上増加しています。

本記事では、法律(民法・刑法)と各自治体の火葬場条例を調査し、遺骨引き取りの法的義務の有無、拒否の具体的手続き、関東・関西の地域差、費用比較、相続放棄との関係まで網羅的に解説します。

読み終える頃には、自分がどう対応すべきか明確になり、不安なく次の行動に移れるはずです。

結論を先にお伝えすると、遺骨の引き取りに法的義務はありません。ただし、火葬場での対応は地域によって大きく異なります。

目次

遺骨の引き取りに法的義務はあるのか

「遺骨は必ず引き取らなければならない」と思っている方も多いですが、実際には遺骨の引き取りを強制する法律は存在しません

遺骨引き取りの法的根拠と祭祀承継者の定義

遺骨は法律上「祭祀財産」として扱われます。民法では祭祀財産について以下のように定めています。

民法第897条(e-Gov法令検索)によると、祭祀財産(系譜、祭具、墳墓)の所有権は祭祀承継者に帰属します。最高裁判例では「遺骨も祭祀財産であり、祭祀承継者に帰属する」と判断されています。

祭祀承継者は以下の順序で決まります:

  1. 📝 被相続人の指定(遺言など)
  2. 👨‍👩‍👧 慣習に従う
  3. ⚖️ 家庭裁判所の指定

ただし、祭祀承継者になったからといって、法要や納骨を行う義務は法的に定められていません。祭祀を行わない選択をしても罪に問われることはありません。

遺体の引き取りと遺骨の引き取りの違い

「遺体」と「遺骨」の引き取りは、法的にも実務的にも異なる扱いを受けます。

項目遺体の引き取り遺骨の引き取り
法的義務なしなし
拒否の可否可能自治体による
連絡元警察・病院・自治体火葬場・自治体
拒否後の流れ行旅死亡人として自治体が火葬火葬場または自治体が供養

遺体の引き取り拒否は、警察や病院から連絡があった段階で意思表示できます。一方、遺骨の引き取り拒否は火葬後の話であり、火葬場の条例によって対応が分かれます。

引き取り拒否が認められる主なケース

遺骨の引き取りを拒否する理由として、以下のようなケースが認められています:

  • 🚫 故人と長年音信不通だった
  • 🚫 生前の関係性が良好でなかった(虐待・DVなど)
  • 🚫 経済的に納骨できる状況にない
  • 🚫 お墓や納骨堂がなく、用意する予定もない
  • 🚫 遺骨を管理できる親族がいない

これらの理由は正当なものとして扱われ、引き取りを拒否しても法的な問題は生じません。


【状況別】遺骨・遺体の引き取り連絡への対応方法

遺骨や遺体の引き取り連絡は、状況によって連絡元や対応方法が異なります。ここでは、よくあるシチュエーション別に対応方法を解説します。

疎遠だった親の遺骨引き取り連絡が来たとき

長年連絡を取っていなかった親が亡くなり、突然自治体から「遺骨を引き取ってほしい」と連絡が来るケースが増えています。

このような場合の対応手順:

  1. 📞 連絡元(自治体・警察)に状況を確認する
  2. 📝 引き取りの意思があるかどうかを明確に伝える
  3. ⚠️ 相続の問題は別途検討が必要であることを理解する

引き取りを拒否する場合は、その旨を連絡元に伝えれば手続きは終了です。自治体が火葬・埋葬を行い、費用が請求されることは基本的にありません。

ただし、遺体の引き取りを拒否しても相続権は消えないため、故人に借金がある場合は別途相続放棄の手続きが必要です。

警察から遺体・遺骨の引き取り連絡があった場合

孤独死や事故死などで警察が介入した場合、身元確認後に最も近い親族へ連絡が入ります。

警察からの連絡時の対応ポイント:

  • ✅ 引き取りの意思を明確に伝える
  • ✅ 拒否する場合は「引き取りできない」と伝える
  • ✅ 書面での意思表示を求められる場合がある

警察での遺体安置には期限があるため、迅速な判断が求められます。引き取りを拒否した場合、遺体は「行旅死亡人」として自治体が火葬し、無縁墓に埋葬されます。

病院から遺体の引き取り連絡があった場合

病院で亡くなった場合、病院から遺族へ直接連絡が入ります。

病院では遺体を長期間安置できないため、速やかな対応が必要です。引き取る場合は葬儀社への連絡と手配を行い、拒否する場合はその旨を病院に伝えます。

病院での引き取り拒否後は、自治体が対応を引き継ぎます。

孤独死で発見された親族の遺骨を引き取る場合

孤独死の場合、発見から連絡までに時間がかかることがあります。また、すでに火葬が済んでいる状態で連絡が来ることもあります。

孤独死のケースで確認すべき事項:

  • 📋 死因(事件性の有無)
  • 📋 火葬の有無と遺骨の保管場所
  • 📋 故人の財産・負債状況
  • 📋 賃貸物件の場合は原状回復の問題

火葬後に遺骨の引き取り連絡が来た場合でも、拒否は可能です。ただし、自治体によっては一定期間内の引き取りを求められることがあります。


遺骨の引き取りを拒否する方法と手続き

遺骨の引き取りを拒否する具体的な方法は、連絡元や状況によって異なります。

火葬場で遺骨を引き取らない場合の手順

火葬場で遺骨を引き取らない場合の一般的な手順:

  1. 📝 事前に火葬場または葬儀社に「遺骨を引き取らない」意思を伝える
  2. 📝 自治体所定の「誓約書」または「同意書」に署名・押印する
  3. 📝 火葬当日、収骨を行わない(または立ち会わない)

重要な注意点として、この手続きができるかどうかは自治体の火葬場条例によって異なります。関東地方の多くの火葬場では全収骨が原則のため、引き取り拒否ができない場合があります。

役所・警察から連絡があった場合の拒否手続き

役所や警察から連絡があった場合は、電話または書面で引き取り拒否の意思を伝えます。

拒否の意思表示に必要な情報:

  • 📋 故人との関係性
  • 📋 引き取りを拒否する理由
  • 📋 連絡先(今後の連絡のため)

多くの場合、「遺体・遺骨の引き取りを拒否する旨の書面」への署名を求められます。この書面に署名することで、自治体が火葬・埋葬を行う許可を与えたことになります。

引き取り拒否に必要な書類と届出先

引き取り拒否に必要な書類は自治体によって異なりますが、一般的には以下のとおりです:

書類内容届出先
遺骨引き取り拒否同意書引き取り拒否の意思表示火葬場・自治体
身分証明書本人確認のため火葬場・自治体
故人との関係を証明する書類戸籍謄本など(求められる場合)自治体

書類の詳細は、連絡を受けた機関に直接確認してください。


【関東・関西】遺骨の収骨方法と引き取り拒否の地域差

遺骨の引き取り拒否ができるかどうかは、地域によって大きく異なります。これは、関東と関西で収骨の慣習が違うことに起因しています。

関東地方(全収骨)の場合

関東地方では「全収骨」が原則です。火葬後のすべての遺骨を骨壷に納め、遺族が持ち帰ります。

関東地方の特徴:

  • 🦴 骨壷サイズ:7寸(直径約21cm)が標準
  • 🦴 すべての遺骨を収骨する
  • 🦴 引き取り拒否が難しい火葬場が多い

関東地方で遺骨を引き取りたくない場合は、いったん収骨した上で、永代供養や散骨などの方法を検討する必要があります。

関西地方(部分収骨)の場合

関西地方では「部分収骨」が一般的です。主要な遺骨のみを骨壷に納め、残りは火葬場が供養します。

関西地方の特徴:

  • 🦴 骨壷サイズ:5寸(直径約15cm)が標準
  • 🦴 一部の遺骨のみ収骨する
  • 🦴 引き取り拒否が比較的認められやすい

関西地方では、火葬前に「すべての遺骨を引き取らない」旨を伝えれば、対応してもらえる火葬場が多くあります。

火葬場条例の確認方法

自分の地域で遺骨の引き取り拒否ができるかどうかは、火葬場条例を確認することで分かります。

確認方法:

  1. 🔍 自治体のWebサイトで「火葬場条例」を検索
  2. 🔍 「焼骨の引取り」の項目を確認
  3. 🔍 不明な場合は火葬場または葬儀社に直接問い合わせ

条例に「残った遺骨は回収を許可する」「残存遺骨の所有権を放棄する」などの記述があれば、引き取り拒否ができる可能性があります。


火葬場で遺骨を持ち帰らない「ゼロ葬」という選択肢

近年注目されている「ゼロ葬」は、火葬後に遺骨を一切引き取らない葬送方法です。

ゼロ葬とは何か

ゼロ葬とは、宗教学者の島田裕巳氏が2014年に著書『0葬 あっさり死ぬ』で提唱した葬送方法です。

ゼロ葬の特徴:

  • 🔹 通夜・告別式を行わない(または簡素化)
  • 🔹 火葬後に遺骨を引き取らない
  • 🔹 お墓を用意しない

葬儀費用とお墓の費用を大幅に抑えられるため、経済的な理由遺族に負担をかけたくないという理由から選ばれています。

ゼロ葬が可能な火葬場の条件と地域差

ゼロ葬を希望しても、すべての火葬場で対応できるわけではありません

ゼロ葬が可能な条件:

  • ✅ 部分収骨を採用している地域(主に関西・九州など)
  • ✅ 火葬場条例で遺骨の引き取り拒否が認められている
  • ✅ 事前に申し出て誓約書に署名する

関東地方では全収骨が原則のため、ゼロ葬の実現は難しいのが現状です。ただし、一部の火葬場では対応している場合もあるため、葬儀社に相談することをおすすめします。

ゼロ葬の費用相場と注意点

ゼロ葬の費用は、一般的な葬儀と比較して大幅に安くなります。

項目ゼロ葬一般葬
葬儀費用10〜30万円150〜200万円
お墓費用0円150〜300万円
合計10〜30万円300〜500万円

⚠️ ゼロ葬の注意点:

  • 親族の反対を受ける可能性がある
  • 後から「やっぱり遺骨がほしい」と思っても取り戻せない
  • 故人の遺志であることを明確にしておく必要がある

ゼロ葬を希望する場合は、生前にエンディングノート遺言書で意思を明確にしておくことが重要です。


遺骨を「焼き切り」で残さない方法

焼き切り」とは、火葬の際に遺骨が残らないよう、遺灰になるまで高温で焼く方法です。

焼き切りの仕組みと対応している火葬場

通常の火葬では、骨が残る温度・時間で焼きます。一方、焼き切りではより高温・長時間で火葬を行い、骨を遺灰の状態にします。

ただし、焼き切りに対応している火葬場は非常に限られています

焼き切りが難しい理由:

  • 🔥 火葬炉への負担が大きい
  • 🔥 燃料費がかさむ
  • 🔥 宗教的・文化的な抵抗感がある
  • 🔥 現代の火葬炉は温度管理されており、過度な高温を出せない設計

実際に焼き切りを行っている火葬場は、西日本の一部地域に限られます。

焼き切りの費用と事前手続き

焼き切りを希望する場合の手続き:

  1. 📞 事前に火葬場に焼き切りが可能か確認
  2. 📝 葬儀社を通じて申し込む
  3. 📝 必要な書類(誓約書など)に署名

費用は火葬場によって異なりますが、通常の火葬料金に追加費用がかかる場合無料で対応する場合があります。

⚠️ 注意:SNSなどで「焼き切りをしてもらった」という話を見かけますが、現代の火葬炉では技術的に完全な焼き切りは困難です。実際には「部分収骨で残りを火葬場に引き取ってもらった」ケースが多いと考えられます。


引き取り後に遺骨を処分する方法

火葬場で遺骨を引き取らざるを得なかった場合でも、その後の処分方法はいくつかあります。

永代供養墓・合祀墓への納骨

永代供養墓は、寺院や霊園が遺族に代わって永続的に供養・管理を行うお墓です。

永代供養墓のメリット:

  • ✅ 後継者がいなくても安心
  • ✅ 一般的なお墓より費用が安い
  • ✅ 管理の手間がかからない

費用相場は5万円〜30万円程度です。詳しくは納骨堂の費用相場と選び方をご覧ください。

散骨による供養

散骨は、遺骨を粉末状にして海や山に撒く供養方法です。お墓を持たない新しい葬送として人気が高まっています。

散骨の種類:

  • 🌊 海洋散骨:海に遺骨を撒く
  • 🌲 山林散骨:山や森に遺骨を撒く
  • ✈️ 空中散骨:ヘリコプターなどから撒く

費用相場は3万円〜30万円程度です。業者に委託する「代行散骨」なら3万円前後から可能です。詳しくは散骨の費用相場と種類別の料金をご覧ください。

樹木葬という選択肢

樹木葬は、墓石の代わりに樹木を墓標とする埋葬方法です。自然に還るイメージから、近年人気が高まっています。

樹木葬の特徴:

  • 🌳 一般的なお墓より費用が安い
  • 🌳 後継者がいなくても利用できる
  • 🌳 自然の中で眠れる

費用相場は5万円〜150万円と幅があります。詳しくは樹木葬の費用相場とタイプ別の内訳をご覧ください。

送骨(郵送での納骨)サービスの活用

送骨とは、遺骨を郵送して納骨を依頼するサービスです。遠方の霊園や寺院に直接行けない場合に便利です。

送骨サービスの流れ:

  1. 📦 寺院・霊園に申し込み
  2. 📦 専用キットで遺骨を梱包
  3. 📦 ゆうパックで送付
  4. 📦 寺院・霊園が納骨・供養

費用は3万円〜10万円程度で、永代供養がセットになっているプランが一般的です。


遺骨を引き取らない・処分する場合の費用比較

遺骨を引き取らない、または処分する場合の費用を比較します。

各選択肢の費用一覧

方法費用相場特徴
火葬場での引き取り拒否無料〜3万円対応火葬場が限られる
ゼロ葬10〜30万円葬儀費用込み
永代供養墓・合祀墓5〜30万円管理不要
散骨(代行)3〜5万円お墓不要
散骨(個別)10〜30万円立会い可能
樹木葬5〜150万円自然葬として人気
送骨サービス3〜10万円遠方でも対応可

最も費用を抑えられるのは、火葬場での引き取り拒否(対応地域のみ)または代行散骨です。

費用を誰が負担するのか

遺骨の処分費用は、原則として祭祀承継者または喪主が負担します。

費用負担のルール:

  • 📌 祭祀承継者が決まっている場合 → 祭祀承継者が負担
  • 📌 喪主が葬儀を行った場合 → 喪主が負担
  • 📌 相続財産がある場合 → 相続財産から支払うことも可能

なお、遺体の引き取りを拒否した場合、自治体が行う火葬・埋葬の費用は、原則として遺族に請求されません。ただし、自治体によって対応が異なる場合があります。

葬儀費用の支払いが難しい場合は、葬儀費用が払えない時の対処法もご参照ください。


遺骨の不法投棄は犯罪|知っておくべき法律と事例

遺骨を処分したいからといって、勝手に捨てることは犯罪です。法律と実際の逮捕事例を知っておきましょう。

刑法190条の内容と罰則

遺骨の取り扱いについては、刑法第190条(e-Gov法令検索)で以下のように定められています。

死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

つまり、遺骨をゴミとして捨てる放置する勝手に持ち去るといった行為は、3年以下の懲役刑の対象となります。

また、墓地、埋葬等に関する法律第4条では、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」と定められています。自宅の庭に埋めることも違法です。

遺骨遺棄で逮捕された実例

実際に遺骨遺棄で逮捕された事例:

場所概要
2020年東京駅トイレ父親の遺骨を男子トイレに放置した息子が逮捕
2017年東京駅コインロッカー亡き妻の遺骨をコインロッカーに遺棄した夫が逮捕
2018年マンションゴミ集積所石材店経営者が改葬依頼された遺骨を投棄し逮捕

これらの事例に共通するのは、遺骨の処分に困った末の行動という点です。しかし、正規の方法で処分すれば犯罪にはなりません。

「処分したい」と思ったときの正しい対処法

遺骨を処分したいと思ったときは、以下の正規の方法を検討してください:

  • ✅ 永代供養墓・合祀墓への納骨
  • ✅ 散骨業者への依頼
  • ✅ 樹木葬への埋葬
  • ✅ 送骨サービスの利用

絶対にやってはいけないこと

  • ❌ ゴミとして捨てる
  • ❌ 駅やトイレ、コインロッカーに放置する
  • ❌ 自宅の庭に埋める
  • ❌ 許可なく山や海に撒く

費用をかけたくない場合は、**合祀墓への納骨(5万円程度〜)代行散骨(3万円程度〜)**が比較的安価な選択肢です。


引き取り手のない遺骨はどうなるのか

遺骨の引き取りを拒否した場合、または引き取り手が見つからない場合、その遺骨はどうなるのでしょうか。

行旅死亡人として扱われるケース

身元が判明していても引き取り手がいない場合、故人は「行旅死亡人(こうりょしぼうにん)」として扱われます。

行旅死亡人の定義:

  • 📋 身元不明の死者
  • 📋 身元は判明しているが引き取り手がいない死者

行旅死亡人として扱われると、自治体が行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づいて火葬・埋葬を行います。

無縁墓・合祀墓への埋葬プロセス

引き取り手のない遺骨は、以下のプロセスで埋葬されます:

  1. 🏛️ 自治体が火葬を実施
  2. 🏛️ 一定期間(5年程度)遺骨を保管
  3. 🏛️ 引き取り手が現れない場合、無縁墓・合祀墓に埋葬

埋葬先は自治体によって異なりますが、公営の無縁墓地や、契約している寺院の合祀墓などが一般的です。

一定期間経過後の遺骨の扱い

総務省の調査(令和5年3月)によると、引き取り手のない遺骨(無縁遺骨)は全国で約6万柱に上り、その数は増加傾向にあります。

無縁遺骨の保管状況(総務省調査より):

時期保管数
平成30年3月末約4.5万柱
令和3年10月末約5.9万柱

約3年半で30%以上増加しています。これらの遺骨は、一定期間保管された後、最終的に合祀墓などに埋葬されます。


生活保護受給者が亡くなった場合の遺骨の扱い

生活保護受給者が亡くなった場合の遺骨の取り扱いについて解説します。

葬祭扶助制度とは

生活保護受給者が亡くなった場合、または生活保護受給者が葬儀を行う場合、葬祭扶助制度を利用できます。

葬祭扶助の内容:

  • 💰 火葬費用
  • 💰 搬送費用
  • 💰 最低限の葬具費用

支給額は自治体によって異なりますが、約20万円程度が上限です。これにより、直葬(火葬のみ)を行うことができます。

生活保護受給者の遺骨はどこに保管されるか

葬祭扶助で火葬を行った場合、遺骨は以下のいずれかの方法で保管・供養されます:

  • 🏛️ 遺族が引き取る場合 → 遺族が保管・納骨
  • 🏛️ 遺族が引き取らない場合 → 自治体が一定期間保管後、無縁墓に埋葬

生活保護受給者であっても、遺族が引き取りを拒否することは可能です。

遺族が引き取りを拒否した場合の流れ

生活保護受給者の遺骨を遺族が引き取らない場合:

  1. 🏛️ 自治体が葬祭扶助で火葬を実施
  2. 🏛️ 遺骨を自治体の保管場所で保管
  3. 🏛️ 一定期間(5年程度)経過後、無縁墓に合祀

この場合、遺族に費用が請求されることは基本的にありません。ただし、故人に財産がある場合は、その財産から費用が支払われることがあります。


遺骨の引き取り拒否と相続放棄の関係

遺骨の引き取りと相続は、法的に別の問題として扱われます。混同しやすいポイントを整理します。

遺骨を拒否しても相続権は消えない

重要な事実として、遺骨の引き取りを拒否しても、相続権は自動的に消えません

遺骨と相続の関係:

項目遺骨相続財産
法的性質祭祀財産遺産
拒否の効果遺骨の引き取り義務がなくなる相続権は消えない
手続き意思表示のみ家庭裁判所への申述が必要

つまり、遺骨を引き取らなくても、故人の借金は相続してしまう可能性があるということです。

相続放棄の手続きと期限

相続を放棄したい場合は、家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。

相続放棄の手続き:

  1. 📝 必要書類を準備(申述書、戸籍謄本など)
  2. 📝 家庭裁判所に申述
  3. 📝 審査を経て受理

⚠️ 重要:相続放棄の期限は「相続の開始があったことを知った日から3か月以内」です。この期限を過ぎると、原則として相続放棄はできなくなります。

詳しい手続きは、裁判所の相続放棄案内ページをご確認ください。

葬儀費用・火葬費用の負担はどうなるか

相続放棄をした場合でも、葬儀費用の負担義務が完全に消えるわけではありません。

費用負担のルール:

  • 📌 相続放棄前に葬儀を行った場合 → 喪主が負担
  • 📌 相続財産から葬儀費用を支払った場合 → 相続放棄が無効になる可能性あり
  • 📌 遺体の引き取りを拒否した場合 → 自治体負担(請求されないケースが多い)

相続放棄を検討している場合は、葬儀を行う前に弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

また、健康保険から葬祭費・埋葬料の給付を受けられる場合もあるため、合わせて確認しておきましょう。


遺骨を引き取りたくない場合のよくある質問

疎遠だった親の遺骨を引き取る義務はありますか?

法的な義務はありません。疎遠だった親族であっても、遺骨の引き取りを強制する法律は存在しません。引き取りを拒否する場合は、連絡元(自治体・警察など)にその旨を伝えてください。

遺骨を引き取らないと費用を請求されますか?

基本的に請求されません。遺体・遺骨の引き取りを拒否した場合、自治体が火葬・埋葬を行いますが、その費用は原則として自治体が負担します。ただし、自治体によって対応が異なる場合があります。

遺骨の引き取りは親族以外でもできますか?

可能です。祭祀承継者として指定されていれば、血縁関係がなくても遺骨を引き取ることができます。また、故人の友人や知人が引き取るケースもあります。

遺骨の引き取り責任は誰にありますか?

祭祀承継者に遺骨の所有権があるとされています。祭祀承継者は、故人の指定、慣習、または家庭裁判所の指定によって決まります。ただし、引き取りを強制する法的義務はありません。

火葬場で骨を残さない方法はありますか?

「焼き切り」という方法がありますが、対応火葬場は限られます。特に関東地方では全収骨が原則のため難しいです。関西地方の一部火葬場では対応している場合があります。

生活保護受給者の遺骨はどうなりますか?

遺族が引き取らない場合、自治体が保管・供養します。葬祭扶助制度により火葬が行われ、遺骨は一定期間保管された後、無縁墓に埋葬されます。遺族に費用が請求されることは基本的にありません。

引き取り手のない遺骨は最終的にどうなりますか?

自治体が一定期間保管した後、無縁墓や合祀墓に埋葬されます。保管期間は自治体によって異なりますが、5年程度が一般的です。

遺骨をゴミとして捨てると違法になりますか?

違法です。刑法190条により、遺骨を遺棄した場合は3年以下の懲役刑が科せられます。処分したい場合は、永代供養墓や散骨など正規の方法を利用してください。

お骨を家に置いたままでも大丈夫ですか?

法律上は問題ありません。遺骨を自宅で保管する「手元供養」は合法です。ただし、将来的に引き継ぐ人がいない場合は、永代供養などを検討しておくことをおすすめします。詳しくは手元供養の費用と方法をご覧ください。

親の葬儀をやらないとどうなりますか?

法的な罰則はありません。葬儀を行う義務は法律で定められていません。ただし、火葬は法律で義務付けられているため、最低限の火葬のみ行う「直葬」という選択肢があります。

まとめ

遺骨の引き取りに法的な義務はありません。疎遠だった親族や、経済的な事情がある場合など、引き取りを拒否する選択は正当な権利として認められています。

ただし、火葬場での引き取り拒否ができるかどうかは地域によって異なります。関東地方では全収骨が原則のため難しい場合が多く、関西地方では部分収骨のため比較的認められやすい傾向があります。

遺骨を引き取った後に処分したい場合は、**永代供養墓(5万円〜)、散骨(3万円〜)、樹木葬(5万円〜)**など、正規の方法を利用してください。遺骨の不法投棄は刑法190条違反となり、3年以下の懲役刑が科せられます。

また、遺骨の引き取り拒否と相続放棄は別の問題です。借金のある故人の遺骨を引き取らなくても、相続権は自動的に消えません。相続放棄が必要な場合は、3か月以内に家庭裁判所で手続きを行ってください。

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